第30話  光の神も消えた!!

「風の奥方は、光の神殿が消えた訳が分かるか?」


<いいえ。ただ……今、この時、光の神殿が消えたという事は、イリアス様も消えたという事です>


「どういうこと!? 神だから神殿にいたって事か!?」


<イリアス様は、人型になることも、神剣にもなられますわ。 気紛れに

人間界にお行きになることもたびたびでしたが、今は、ご神体として光の神殿にいらっしゃったはずですわ>


「じゃあ、ご神体として神殿に?」


 アンナレッタが言うと、風の奥方は心配そうに頷いた。

 アンナレッタは奥方に聞いてみた。


「今回のこと、奥方はどう見る?」


<そうですわね……大きな力が働いていますわ。イリアス様のいた、神殿ごと何処かへ消したという事ですもの>


「闇の神の力ではないのか?」


<それは、ありません!! イリアス様が、光の神となったのは、ディハルド神との戦いではないのです。我々、精霊族や人間を苦しめてきた魔族を増やし過ぎない為です>


 奥方は、きっぱりと言った。


 アンナレッタは肩を落とした。

 奥方なら、何か分かると思っていたのだ。

 アーロンは、そんなアンナレッタを見て言った。


「アンナ様、一度帰って出直しましょう。」


「何を言うんだ!! アーロン!! 父上も巻き込まれてるんだぞ!!」


 アンナレッタは怒鳴ったが、リカルドに言われてしまった



 <アンナ!! 落ち着け!! 取り合えず、仕切り直そうぜ。ドーリアや、ヴァーレンに行って、お前は疲れている。もう一度、世界の事を調べて、出直そうぜ!!>


 アンナレッタは黙って、頭上のリカルドを見上げた。

 昔なら、説教をしてくる精霊は大嫌いであった。

 今はリカルドを信頼している。


 疲労感は無かったが、少し休みたいのは本当だった。


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