第21話  ドーリア王の予見

大陸西岸の三古王国の中で、一番の領土を保有するドーリア王国は、砂漠の国でもあり、多くの占術者を輩出する国でもあった。


 銀の森とは、繋がりも古く血縁関係を結んでいた。

 近年では、エル・ロイル家の当主の妹の銀の姫が嫁いでいた。


「陛下、姪のアンナレッタ・エル・ロイルですわ」


 叔母のルースティリアが紹介したのは、淡い金髪と緑の瞳の20歳くらいの若い王だった。

 アンナレッタは、犯罪だろうと思った。

 たしか、叔母が結婚したのは七年前だ。その時、叔母は二十歳を超えてたはず……この王はいくつだったんだよ……。


 アンナレッタの考えていたことが分かったのか、ドーリア21世は笑っていた。


「大丈夫、余とルースは上手くいっておる。そなたの心配は無用ぞ」


 と、言われてしまった。

 手を差し出されて、アンナレッタはその手を握り返した。


「邪推した。つい……だが王よ、お前が占ってくれたそうだが、お前以上の予見師はいるのだろう?」


「アンナ!! 陛下に失礼よ!!」


 ルースティリアの大きな声もドーリア21世は、静かに制した。


「ロイルの姫は、マ-ロウ王家の占いの歴史をご存じないらしいな。

 この国の占者の力は我が家が発祥とされている。つまり、今この国で一番の占者は余という訳だ」


 アンナレッタはビックリした。


「それで、何か分かったのか?」


「水晶を視た限りでは、突然何かの力によって、消えたとしか思えない」


「何かの力?」


 アンナレッタは叫んだ。


「人間ではない、大きな力だ。それ以上は分からない」


 ドーリア21世が大きく溜息をついてアンナレッタの方を見た。

 アンナレッタは、早くも次の事を考えていた。

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