第17話  少年神官、アーロン

「あ……あの、ロイルの姫のアンナレッタ様ですか!?」


 光の神殿の消えた跡地で精霊のリカルドといたアンナレッタは、突然男の子から声をかけられ、大層驚いた。


「誰だ!?」


「僕はアーロン・デュロウといいます。光の神殿で最年少の神官でした」


 12~3歳に見える彼の外見は、アンナレッタと同じ先祖返りかもしれなかった。

 淡い金髪とうすい緑色の瞳は、砂漠の民を思わせた。

 そしてこの年で光の神殿入りを許されているという事実。

 アーロンは間違えなく、エリートの候補だった。


 アンナレッタは不躾なまでにアーロンを見た。


「お前はいくつだ?」


「十四です」


「お前はなんでここに居るんだ!?」


「僕は大神殿の方にお使いに行ってて……帰ってきたら神殿が無くなってて」


 銀の森には、本殿と言える光の神殿と一般の人が、参拝できる大神殿があった。

 アンナレッタはフ~ンとリカルドを見上げた。


「どう思う!? リカルド」


<運が良い奴>


 アーロンはリカルドと目を合が合うとパッと顔色が輝いた。


「すごい!! さすがにロイルの姫だ!! すごい精霊を持ってますね」


「あれが視えるのか!?」


「はい、視えるだけですが」


 神官の服を着ていて、腰紐の色は緋色だ。中位の神官職ルーストだ。

 もちろん、この年では異例だった。


 心細さに打ちひしがれている、まだ幼さの残る少年をアンナレッタは、一人に出来ずに館に連れ帰った。


「裏の温泉でも入って来い」


「でも……神殿は……ザイラス様やハウル様、ユリエ様は何処に消えたのでしょうか……」


「消えた中には、父上もいる。明日には戻ってるかもしれないだろ!?

 神殿が戻るまでここに居て良いから、男がそんな顔するな!!」


「ロイルの姫は男前ですね」


 アーロンはニッコリと笑った。

 その笑顔はとても美しくて、アンナレッタは柄にもなく、うっとりしてしまった。

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