第11話 誘拐犯を知っている?
アンナレッタは、リカルドの特徴を小屋の床に墨で描き始めた。
「年は20歳まではいってないな。多分金髪で青い瞳で騎士の格好をしている。結構イケメンだ。覚えがないか?」
誘拐犯は困惑した。
目の前の10歳にも満たない少女にしか見えない子供が、大人の自分と同等に話している。
皇子だと思って誘拐したが、これは人違いで確定だ。
「そいつの名前は?」
「肉体が無い精霊だぞ。言える訳がない!!」
アンナレッタの描く、床の絵は素晴らしく幼稚で、誘拐犯は????である。
<おい、アンナ。人違いだよこの時代にいる訳がねぇんだ>
「だって、お前を殺した奴だろう?」
<いや、そいつにやられたかは、分かんねぇし……言えるとしたら、五百年経ってもこいつの魂は、成長してねぇってことさ>
「五百年!?てなんだ?」
<俺の生きていた時代は、今から五百年先なんだ>
リカルドの衝撃のカミングアウトに、さすがのアンナレッタも驚いて何を言って良いのか分からなゕった。
小屋の中をビュービューに大風が吹いている中、長い沈黙が流れた。
<お前は、ロイル家の姫なんだろ?>
最初に声を出したのはリカルドだった。
「こんな外見だがな」
アンナレッタが答える。
<姓は捨てるぜ。俺は精霊のリカルドだ。それで良い>
「吹っ切れたな。良い顔してるぞ。それじゃあこれからどうしてやるかな!?」
我に返った誘拐犯がナイフを持って、アンナレッタを脅してきた。
「いい気になるんじゃねぇ!!」
「風の騎士、風の縄!!」
<また、訳の分からんことを……>
……と思いつつリカルドが頭で縄を思い浮かべると、手に銀色の縄を持っていた。
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