タクト トランシスト

第1話 海。

ザァーー…ザァーー…


「……」


(ここは、海?)


穢れなき砂浜に立ち、私は無限なる蒼を呆然と見つめていた。

ふと意識が戻り、後ろを振り返る。


(防波堤に…階段、それに道路?)


このような美しい砂浜に、明らかな人工物。

それにどれも日本でも見られるようなものだ。


(階段を上がってみよう)


全く人の気配がない。

車も、自転車も、何者もこの道を通らない。

だが、しっかりと舗装されていて、目立った傷もない。

少し高いところに登ったので、海を見つめてみる。

左奥に、港町。

しかしそこも、遠くから見た感じだが人の気配がない。


(歩くか…)


私は何も考えることも無く、決断した。

ただ歩く、左奥に見えた港町を目指し、歩く。

左を見ると、美しい砂浜に蒼い海。

空には青空が広がり、太陽が真上から沈む気配がない。

日差しが熱いが、風が涼しい。

汗もかかず、喉もかわかない。

だからこそこんなにぼーっと歩けるのだろう。

右手には森、鬱蒼と生い茂っているが、不思議と道路にははみ出ていない。

景色が変わるのは、道路のちょっとしたカーブのみ。

しかし、飽きる気配がない。

私はどこまで歩くのだろうか…







3時間ほど経っただろうか?

ようやく港町に着いた。

不思議と疲れを感じない。

目の前に広がるのは、美しい港町。

自然と人工物が共存し、幻想的な雰囲気を醸し出している。

港に出てみても、人も、ネコも、魚すら気配が無い。

昨日今日使われた形跡がしっかりと残っている。

だからこそ不思議だが、それより深い疑問は持てない。

何故だろうか?


町にも行ってみる。

所々に店があり、開いてはいるが、誰もいない。

商店街や裏路地などを巡ってみるも何も無い。

そしてまたどこかへ向かおうとする。

その時だった。


(ん…?)


なにかの違和感。

急に意識が遠ざかっていく。

その時私は、ここで感じた言葉には表せないような感情を覚えている…




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


おや、夢から醒めてしまったようです。

いかがでしたか?

楽しめていただけたのなら、幸いです。

この夢はここで終わり。

もう二度と見るとこは無いでしょう。

その一度きりを起きてから楽しむのが、夢というものでしょう?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ここからあとがきです。

いかがでしたか?

短い小説ですが、なにか感じていただけたのなら、作者も嬉しいです。

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