2部 星の追操女(アルテミス)

第24話 2学期と部室の違和感

季節は移り変わり、楽しかった夏休みも終わり2学期のスタートを受け入れざるを得ない始業式を世の中の学生たちは受け入れなくてはならない。

だけど、俺たちはまだ浮かない顔をしていた。

なんせ尊敬する先輩が何者かに撃たれ、知らなかった部活の内情を知り…そして自分たちも狙われているという非現実的な話をされた。

一つ一つ解決していく必要があるのだが、先輩がいてくれないとどうしたらいいのか正直わからない。あの日を過ぎてから先輩についての情報を詳しく教えてくれないとみんな言っている。病院側からは退院したとだけ。

個人的に連絡を入れても既読すらつかない。

一体先輩はどこに……。

「はやと……颯翔!!」

「っ!」

隣の男…朝日が俺の肩を激しく揺らしながら名前を呼ぶ。

俺はやっと正気に戻ったけど…揺らしすぎて気持ち悪い。

「おぉ!目覚めたか!もうそろそろっ!始業式が!お、わ、る、ぞーーーー!(小声)」

「うげえ…やめろ、揺らすな。分かったから。それ以上はやばい。う、うぅ、お、おわぁ……(ピーーー)」

『ただいま機材トラブルと共に、本編の美しい光景を世に出すにはまだ早いと判断して一旦こちらのアヒルちゃん達を眺めていだだき心穏やかになりましょう~♪』

--------------------

〜放課後〜

「あーーーーさーーーーーひーーーーーくーーーーーーーーーーーん(ニコニコ)」

「ひ、ひぇ…な、なにかな?颯翔。あ、もしかして俺と今日こそ筋トレして筋肉ムキムキのSUPER NATURAL BODYを目指す気になったのか!?」

「てめぇをPAPER VISUAL BODYにして筋肉ボロボロにしてやろうか?あん?」

「ち、違うんだ。あの時のお前はなんか変だったから正気に戻すことを考えてこれが一番かと思って…」

「は?俺が正気に戻ったら更に激しくなったよな?それはどう弁明するんだい?」

俺はニコニコしながら朝日に近づいていく。

それに合わせるように朝日は後ずさりする。

「あ、それは…あ、そう!

お前が目覚めて、嬉しくてつい激しくなってしまったんだぜ(キラキラ)」

「嬉しくてついね〜。ふーん。でも辞めてって俺、言ったよな?」

「は、はい!言いました。いえ、聞きました!」

これはお仕置だ。許さん。公衆の前で俺をリバースさせたことを後悔させてやる!

「何か言うことは?」

「一緒に筋肉道を目指そうぜ!(ドヤ)」

右手の親指から〜小指を順番に曲げて、拳の形を作ったら、振り下ろして、はいっズドーーーン!

「ふん!!!」

「あふぇん!?」

見事、拳が頭にクリーンヒット!朝日は情けない声と共に何故か土下座をした。

いやなにそれ…怖いんだけど。

でも、まん…ぞく!

さーて次は何をお見舞いして……。

「先輩!!!!さっき部室行ったらなんか様子が………。」

「あ。」

「お取り込み中でしたんですね!お邪魔してすいません!!失礼しましたーーー!!」

勢いよくドアを開けて俺を必死に呼んだ後輩ちゃん。しかし俺の今の状況を見て彼女は考えた…。何も見ていない!と。

その思考、時間にして約0.0000001秒。まさに某最強さんの領域○開で敵を瞬殺した時の秒数を遥かに超える反応速度。

もう彼女だけでいいんじゃないですか?

この世界も星群も…。

って、違う!!今のは花鷹さん!?急いで追いかけないと。

--------------------

〜部室前〜

「は、花鷹さん…さすがに弁明させてよ。」

あれから猛ダッシュで追いかけた。何とか着く頃にはもう部室の目の前に来ていた。

「はぁ…あんた、それよりもこれ見なさいよ。」

泡沫達もそこにはいて、部室の状況を指さした。

「!」

目の前の光景に俺は戸惑った。声が出なかった。なぜなら、そこにあったのは。

『ピンクの鎖』

見た感じ実態がない。なのにドアは…。

あれ?開く。

「わぁ、開いたな〜。せやけど部室の中はえらいこっちゃなっとるやないか。」

一八くんが言ったとおり、中には今まであったものが全て無くなっている代わりにたくさんのピンクの鎖と鍵穴。

「ふむふむ。先輩方。どうやらここは何者かに封印され、この謎解き?をといて鍵を手に入れ、ロックを解除する必要があるそうです。」

謎解きだって?なんでわざわざこんなことを。それに…さっきからこの甘い香り。どこかで。

まさか!シリウス……。あの時の女の残り香と同じだ。何が目的なんだあの女は。

「やるしか、ないな。」

俺たちはみんなで手分けして謎解きを攻略することにした。

だけど、俺には何となく嫌な予感がしていた。

なんだろう。この寒気は。

というか、何か重要なことを忘れているような気がする………

--------------------

〜屋上〜

「アッハハハ。最高だな。普通考えたら鎖とかある訳ないし。あったとしても何かしら危ないことだと思うだろう?残念だが謎解きだ。その驚いた顔。実に滑稽で哀れだ。」

余は笑う。嘲笑う。

素晴らしい程に上手く行っている。

まぁ後は奴を排除することが大事だ。

計画に狂いはない。

さぁメインデッシュまで楽しませてくれよ?

彼女は再び嗤った。

これが彼女にとっての分岐点となるとは知らずに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

毎日 13:00 予定は変更される可能性があります

星が瞬く夜空に恋唄う星群(アステリズム) 一ノ瀬詩音 @sion05

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ