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みなと あおい
第1話
拝啓
桜が咲いている。綺麗だね。そんな言葉を交わしたのも、もう三年前になりました。私がもう先が長くないと分かってからも君は欠かさず私のお見舞いに来てくれました。君が毎日話してくれた学校での出来事、日々の出来事に私は、まるで君というシンドバットと七つの海を冒険しているようで楽しく、ドキドキ、ワクワクと胸をときめかました。楽しかったな。
さようなら。ありがとう。君のおかげで私の人生は悪くなかったと思えます。ただ、一つだけ心残りがあります。この手紙に書き残す私はずるい女かもしれません。でも、最後のわがままとして許して下さい。
私はあなたが好きでした。
あおい
桜とともに散った彼女。僕は君のお葬式が行われた雨の日に彼女の親戚からこの手紙を受け取った。いつかはこの日が来る。自分ではとっくに理解し、覚悟は決まっているつもりでいたが、いざ彼女が棺桶の中にいるのを見つめると、ただ静かに眠りについているだけのようで、純白な肌と薄紅色の唇、真黒でシルクのような髪の彼女は、輝夜姫でさえ見劣りするのではないかと思えるほどで、ただただ、美しかった。僕は、涙の一滴でさえ出なかった。彼女は、死んでもなお僕を魅了し続けていた。僕はゆっくりと彼女の右耳の横に白い百合の花を添えた。
a みなと あおい @okymaoi
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