Vtuberさん、〇〇中!!

美澪久瑠

夢咲抜刀さん、配信中!

「やっはとー」

ニコニコと、笑顔を振りまいている深い青色の髪、水色と青のオッドアイ?の姿をした少女が画面に表示されている。

夢咲抜刀ゆめさきはとうでっせー。」

いつもの挨拶を終え、コメントを確認する。


「へ?」

思わず間抜けな声が出てしまった。

だが、沈黙は長くは続かない。

0.03秒の沈黙は、

「なんでだァァァ!?」

この叫びで破られた。


何故叫んだのか、理由は広告の後で☆

なーんて、抜かしている暇はない。


コメントが…一切ない。


この前の初配信を思い出す。

コメントは…あったっけ…?


ここは唯一の希望!コメントオフを疑う!

「コメントは…オフにしていない…」

あぁー。詰んだぁ。


「…へぇ?」

またもや間抜けな声が出る。

次は0.07秒の沈黙だ。流石に思考の時間が欲しかった。


ディスプレイに表示されている視聴者数のパラメーターを確認した。

絶望した。


「視聴者数0人…か…。」


そう、視聴者数は0人。

視聴者数は…0人。

視聴者数はぁ!0人でしたぁ!!


大事なことなので計4回言わせてもらった。

視聴者数0。

コメントはもちろんくるはずがない。


なんなら配信を始めてから視聴者数は0人。

メンタルはズタボロだ。

「うぅぅ…まぁ、しょうがない…のかな。」


初配信は2週間前。

記憶から消し去っていたが、その時も視聴者数は0人。

初投稿も話題にならなかったしなぁ。

「これが…運命ってやつかぁ?…おん?」


一件のコメント。

810人の視聴者。

コメントの内容はこうだ。


『嘆いてて草。SNS見やがれください。』


「…え、ん?どゆこと????」

コメントの言う通りにSNSを見てみる。

「ほぉーん。お前ら、そんなことするのねー?」


自分のアカウントに届いたリプの一つを見た。

『ドッキリに気づいてないのマジで好こw』


「ドッキリ…。」

そう言った瞬間、滝のようにコメントがものすごい勢いで流れる。

本気でなんにも見えない。


「夢?ねぇ、これ夢!?」

初配信は0人だったのに…。


『Vtuberにドッキリしよう企画の抽選で当たったんだよ。』


「抽選…。いやいやまさか。嘘だよな?」


『ほんとだにょぉ〜ん』


ウゼェ…。

このドッキリがあるってこと知らなかった自分にも落ち度があるかもな。


「どのくらい有名なんだー?この企画。」


『Vtuber好きがやみつきになるくらいには有名じゃね?』

「うん。まぁいいや。有名だったんだねぇ。」


まさかのドッキリ…。

でも嬉しいドッキリだったな。

初配信の時みたいに誰もこないで粛々とやるよりかはマシだ。


夢咲抜刀の配信はまだまだこれからだ!

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