山麓の駅 🛤️

上月くるを

山麓の駅 🛤️



走り根に上りくだりの蟻の列

山麓の駅に絵日傘消えゆけり


思ふ様舞ひゆく意志や夏の蝶

代替のきかぬ言葉や文字摺草


自ずから浮ぶ真意や夏透ける

水鶏笛受容の二文字貰ふまで


瑠璃鳥の瑠璃の羽より歌自慢

老鶯や理解されぬも面白し


恃むのはこの身ひとつや仏法僧

しつかりと枝つかみゆく三光鳥


病犬の細き裸足に布を巻く

先鞭を邪道と呼べり箱眼鏡


きつちりと巡る歳月さくらんぼ

桜桃やこの世の福をふたり占め


小上りや透けて緑の烏賊刺身

歳若に鯵の小骨を除けてやる


蛸飯の旨き店なり裏通り

湖の蓮を仮寝の浮巣かな


しりよぶかく白鷺の立つ夕の川

夜鷹鳴く何に追はれて急ぎしや




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

山麓の駅 🛤️ 上月くるを @kurutan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ