第13話 至高のワンピース
ショッピングモールは色々な店があり、今僕達は映画館を出てゲーセンに来ていた。時間もまだ5時間以上あるので、まずは僕達の癒しの場で勝負をしていた。
「「...........」」
メダルゲームは奥が深い。欲が強ければ負ける時もあるが、運が良ければ一枚でも無限に増やせる。しかし、僕は違う。
「........ここで.........これで全部だ」
無事メダルが消えたので、買うか迷ったが、取り敢えず勝負しているので篠原さんを探していると、少し遠い場所が物凄く盛り上がっていた。
「お姉ちゃん、やるね」
「ありがとうございます」
「これ程の逸材は10年ぶりだな」
「ありがとうございます」
「それにべっぴんさんやね」
「奥様もね」
「あらあら」
篠原さんは年配の方に囲まれてメダル入れを10個ほど積み上げており、その時点で勝負が終わった。これ程までに負けるとは想像できなかった。
「あら、凛君どう」
「負けました」
「それじゃあ負けた凛君は私に付き合ってね」
「はい」
僕が勝ったらゲーセン続行、篠原さんが勝ったらショッピングモールを歩き回る。絶対に勝てると考えていたので、
「これも良いわね」
「はい」
「これも捨てがたい」
「はい」
「これどう?」
「綺麗です」
ゲーセンを出て今は、アパレルショップに来ていた。篠原さんは体の前に売っている服を置いて、僕に笑顔で見せてきたが、良し悪しが分からないので気分を損ねない様に慎重に返事していた。
「お客様、こちらはどうですか?」
「そうね.......試着します。凛君待っていてね」
「ああ」
篠原さんは店員から受け取った青いワンピースを持って試着室に行った。それを待っている僕は、今窮地に立っていた。
何故今、僕の周りに女子が居る。さっきまでは普通のアパレルショップだったが、篠原さんが消えて、今女性客が僕を包囲していた。
「あの.......あの綺麗な人誰ですか?」
「私、お姉様と呼んでもいいですかね」
「...........至福」
「私の王子様」
色々な言葉が僕の頭に入ってきたが、全部篠原さんの事だったので、緊張せずに篠原さんの説明ができた。女性と話すのは緊張するけど、何とかなった。
「「「「ありがとうございます」」」」
「それでは」
女性客は去って行ったが、僕は冷や汗が止まらなかった。近くに居た店員さんも少しずつ奥に行き、周囲が僕とあの方から距離を置いていた。
「...................待っての意味知ってる?」
試着室から顔を少し出して物凄く睨んでいた。試着がまだ終わっていないのでカーテンを掴んで隠していたが、少し頬が熱くなった。でも、
「私、静かに誰とも話さず特に女性とは話さず待っていてって言ったよね」
「そこまでの意味があるとわかりませんでした」
「そっか.....こっち来て」
篠原さんが手でジェスチャーしていたので、従う以外できない僕はゆっくりと試着室に向かった。近くに行くと分かるが、篠原さんはこっちに来たいけど、まだ服をしっかり着ていない、でも近くには行きたい。その為、やはり近くで見るとカーテンの凹凸が生々しかった。
「.........取り敢えず試着終わらさない?」
「私は凛君が何故女性と話してたか聞きたいの」
「それは....」
「もし、嘘ついたら許さないよ?」
笑顔で怒っている人が1番怖い。そう感じたのは、アパレルショップの試着室の前だった。男性客は僕以外居ないけど恥ずかしくないのかな.......嫌々取り敢えず説明を、
「その、篠原さんの事を聞かれて答えてました」
「.......私?」
「はい、綺麗とかカッコいいとか」
「凛君はどう思う」
何を思う?、言葉の意味が理解できなかったので、推測から女性達に囲まれて質問される気分はどう思った?だと理解して、
「少し恥ずかしかったけど、貴重な体験だった」
「はぁ!!!!、何を言っているの、私は...............あ」
篠原さんは自分を観察してカーテンが凹凸してる事に恥ずかしくなり、試着室を閉めた。これでひと段落と思っていたが、
「今度は近くで居てね、凛君」
「もちろんです」
数分後、篠原さんが出てきたが、何も言えなかった。青いワンピースを着た篠原さんは、
「どう?」
「...............好みです」
「ええええ!!!!」
綺麗すぎた。僕は漫画やラノベで色々女性達を見てきたけど、それらを楽々上回っていた。こんな人が三次元に居ていいのか、モデル級のスタイルと綺麗なクール顔に青いワンピース重なって........やばかった。
「「「「わぁぁぁぁぁぁぁ」」」」
女性客、店員が拍手しながら微笑んでいたので、僕達は恥ずかしくなり、篠原さんは速攻で青いワンピースを買い、違う場所に向かった。
「「(恥ずかしいいいいいいい)」」
ゲーム仲間が両次元で束縛してきて大変困っている件 ブラックコーヒー @Kuro4561
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ゲーム仲間が両次元で束縛してきて大変困っている件の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます