初夏の深夜

樹(いつき)@作品使用時の作者名明記必須

初夏の深夜

蚊の羽音で目が覚めた。

いつの間に寝ていたのだろう。テレビも電気もつけたままだ。

そういえば今日は今シーズン初めての真夏日を観測したとテレビで言ってたっけ。

昼間のジリジリとした暑さで思った以上に体力が奪われ、仕事から帰ってきてすぐ力尽きてしまったようだ。

ぼやけた目をこすりながら時計を見るとすでに4時を回っていた。

お腹がググーっと鳴った。

そういえば夕飯を食べていなかったんだ。

コンビニまで買いに行くか。

さすがにこの時間になると、昼間の暑さよりだいぶ気温が下がっている。

薄手のパーカーを羽織りいざコンビニへ。

こんな時間に歩いてる人は誰もいなかった。

自分一人だけが取り残されたような、そんな気持ちになる。

今日も暑くなるのだろうか、と明るくなってきた空を見上げると、目線の先にある高い木にひっそりと藤の花が咲き始めていた。

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