初めてのショートショート
Heart
リラックスできる幽霊
ある一家の父はひどく疲れている。
同じく母もひどく疲れていて、同じく息子と娘も疲れているのだった。
ある日、父は仕事終わりの帰宅途中人だかりがあるのに気づき近づいてみた。
人だかりの中央には行商人がおり周りの人々に熱心に説明していた。その男が
言うには日々の疲れがとれる「リラックスできる幽霊」が販売中とのこと。
簡単な降霊術ができる小さい機械を使えば後は幽霊が物を動かしてリラックスできる環境を作ってくれるらしい。早速父は行商人に頼み買うことにした。少々値段は張るがいい買い物だ、と喜びながら帰宅した。
家につくと母と子供達にリラックスできる幽霊を紹介しやってみることにした。説明書を読み機械のスイッチを押す。機械の周りに魔法陣が現れ、数秒後半透明の男の幽霊が出てきた。幽霊は家中の物を動かし家族をリラックスさせる。お風呂にお湯をためたり、音楽をかけたり料理も作ってくれた。さらにどこから見つけたのかラベンダーをアロマ替わりにし、居間を心地よい空間にしてくれた。しかし一時間たったころ幽霊は怒った顔をして家の物をめちゃくちゃにしてしまった。説明書を読んだ息子は「定期的にお供えものをしないと怒り出します」という一文を見つけた。それを読んだ家族は深く落胆し余計に疲れてしまった。
終わり
初めてのショートショート Heart @garumu44
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