0-8 二日目 スバルトーク

「もしもし、母さん」


「おや、すばる。今日は、お仕事もう終わったの?」


「うん、今、終わったとこ。ちょっと残業しちゃった」


「えー、入ったばかりでしょう? ブラックなんじゃないの?」


「そんなことないよ。みんな優しいし。

 それにね、今日、動物人アニマンの学校に行ったの! 子供たち、めっちゃ可愛かった!」


「そうなんだ。すばる、楽しみにしてたもんね。良かったわね」


「そう! みんな子供で小さいし、ケモミミ生えてて、可愛かったー。しかも、私が挨拶したら、近寄ってきてくれたの! その時、隣同士の子のお耳が触れ合ってね、ピクンって揺れたりしてさー。もう見てるだけで幸せになれるの!」


「そうなんだ。すばるが優しい子なのを、子供たちは一目でわかってくれたのかもね」


「どうかなー。中にはニンゲンが嫌いって子もいるみたいで、色々と事情がありそうなの」


「へぇー。ヒトと変わらないね」


「だよね-!」


「じゃあ、心を込めて、ゆっくり付き合っていかなきゃね。それって、すばるがやりたかったことじゃない」


「あぁ、確かに!」


「市役所ではさ、お年寄りや困ってるヒトに親身になって接しようとしたら『あまり入れ込むと公平じゃなくなる』なんて言われてたでしょう? 言われた通り気をつけたら、今度はお年寄りから『冷たい』って言われたり、怒ったヒトにぶたれたり……あの頃のすばるは、本当に可哀想だったわ」


「あの頃のことはもういいよ。そりゃ、心も体もボコボコだったけど……今、幸せだもん」


「そう。すばるがいいなら、いいわ。

 けどね、お母さんは、結婚する幸せも知ってほしいな」


「その話もいいって!」


「アンタって子は、もう! まあ、仕事も始めたばかりで忙しいんだろうけど」


「そうそう」


「けど、アンタもうすぐ三十よ。わかってるの?」


「はい、はーい」


「まったく、もう!

 体、壊さないようにね」


「うん。ありがと。

 お母さんも、風邪ひかないようにね」


「はい、はーい」


「もー!」

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あにまる☆すとらいく むささび @musasabi1000

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