第6話

どうしよう。

この言葉が帰ってからずっと私の頭の中に浮かんでいる。

篠原くんに言った、友人を増やすという約束。

簡単そうだが難しい。

篠原くんは、あんまりクラスメイトと関わっているところを見たことは少ないし、私から話しかけないと、一回も話さず過ごすことだってあるだろう。

そもそも、人付き合いが嫌いなのかもしれない。

色々と考えているうちに少し疲れて、顔を窓の方に向けると少し空が赤に染まってきていた。

「もうそんな時間?」

帰ってきてから結構時間が経っていると気付き少し体を伸ばしてベッドから起き上がった。

少し、寝過ぎていたのか、髪も少しぼさっとなっていた。

リビングに向かうと母は料理を姉は宿題をしていた。

扉を開けた音に気づいたのか姉の千早はあっと声をあげた。

「舞、今日は何か疲れることでもあった?」

千早は心配そうに聞いてくるが友達のことで悩んでいると伝えても心配を増やしてしまうだろう。

「ううん、ただ今日の授業が疲れちゃって」

そう言って誰も座っていないソファーに腰掛けた。

いつもなら姉と話しているが今日は考えることで一杯だった。

(篠原くんは1人の方がいいのかな?

私のしてることは迷惑かな?)

そんなことをずっと考えてしまっている。

不意にソファーの横の机に置いていたスマホを手に取った。

「あっ篠原くんからだ」

画面を開くと、篠原くんからメッセージが届いていた。

(暁月さん、こんにちは)

メッセージはそれだけだったが、普通の友人はこれよりも柔らかい文章なのでどうしても壁があることを感じてしまう。

(男子ってみんなこんな感じなのかもしれないし)

そう、考えて

返信を打ち込んだ。

(こんにちは篠原くん)

(今度の遊ぼうって予定どうする?)

私は篠原くんがどう考えているのか知りたかったし、嫌だったらここで接し方を改めることだってできる。

すぐには既読はつかなかったが

それから少し経ってピロンと音がなり私はスマホに駆け寄って確認した。

着信の正体は待っていた篠原くんからだった。

(暁月さんに任せるよ)

(楽しみにしてるから)

短い返事だったが楽しみにしてるという言葉をかけて安心することができた。

「どうしたの舞?少し笑ってるけど」

「ひぇっ!」

突然、声をかけられたことに驚いて、ビクッと体を震わせてしまった。

急いで振り向くとそこにはお姉ちゃんが立っていた。

「どっ、どうしたのお姉ちゃん?」

「いや、なんか楽しそうにしてるなって」

「まっ!まあね、友達との会話が楽しくて」

少し不思議そうな顔をしたが、それだけ言うと自分の部屋に戻って行った。

舞としても姉に隠し事はしない方だが

今は男子と連絡しているのは初めてで誰にも知られたくないというか気持ちが勝っていた。

(ありがとう!じゃあ、日程はこっちで決めるね!)

そう送るとすぐに何かのキャラクターのOKというスタンプが送られてきた。

少しそのキャラクターが気になり調べてみると最近流行っているゲームのキャラクターだった。

(篠原くんってゲームもしてるんだね、

機会があったら話してみよう)

篠原くんとの会話を楽しんでいる自分がいた。

「篠原くんってどんな人なのかな」

心の中で知りたいと言う自分の感情が大きくなっていることに気づくのはもう少し先。




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真逆の双子の似てるとこ クヨミ @kuyomitadasi

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