まっすぐに道を行く

古 散太

まっすぐに道を行く

最初から道はずっとまっすぐだった

すこしは曲がっているところもあったし

たくさんのわき道もあった

見栄えのいいお店も見かけたし

美味しそうな雰囲気のレストランもあったな

森の中の薄暗いところもあった

足元がガタガタのところもあった

誰かが一緒に行こうと声をかけてきた

だけど誰かはいつの間にかいなくなった

入れ替わりに誰かがやってきた

楽に行けるからと脇道へ誘ってきた

だけど行かないと言ったら

誰かはいつの間にかいなくなった


空はずっと晴れていたけど

どこかで雨が降っているだろうけど

心はいつもうす曇りだったけど

陽射しを浴びることもあったけど

虹がかかることもあったけど

未来を教えてもらったけど

教えてもらったことにはならなかったけど

不思議を見せてもらったけど

タネがバレバレだったけど

気がつけば君が横にいたけど

だから僕は笑ったけど

君も一緒に笑ってた


やっぱり道はずっとまっすぐだった

道なりに曲がったこともあったし

わき道に入ったこともあったんだ

でもここまだやってきて振り返ったら

やっぱり道はまっすぐだった

ずっと一本道だったのに

勝手に不安になったし

勝手に怯えたし

勝手に怖くなった

道に迷いそうだったら

立ち止まって振り返ったら

この旅が始まったときのことを思い出し

ここまでの道がまっすぐだったことを

確かめてみたらいい

君の人生はここまでずっとまっすぐだった

迷った気がしてもはずれた気がしても

ずっとまっすぐでこれしか道はなかった

見たらわかるけど、だから今、ここにいるんだ

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まっすぐに道を行く 古 散太 @santafull

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