2 ロダ

第8話 同級生

 リゲル団長の好意に甘え、自警団の見学に行った時だった。二十人ほどいる団員の内の一人が、ハイトを見て目を見開き、親しげに声を掛けてきた。

「ハイト? ――ハイトじゃないか」

 声を掛けてきたのはカイングネイトの学校で同級生だったロダだった。彼は集団から抜け出すと屈託のない笑顔を浮かべ、ハイトの手を握った。

「久し振りだなぁ。こんなところで会うなんて思わなかった」

「本当だね。びっくりしたよ。長い間会わなかったのによく僕だって分かったね」

「そりゃ分かるさ。面影がある」

 そう言われてロダの顔を眺めると、確かに彼にも幼い頃の面影があった。親友だったというわけではないが、同級生として無難に接してくれた人だった。中等学校を卒業した時に遠方に引っ越したと聞いたが、まさかこんなところで再会するとは思わなかった。

「元気にしてたか? 俺はこっちで結婚して子供もできて――いや、これから訓練があるからそういう話は後でしよう。じゃあな」

 ロダはハイトの手を放すと自警団の仲間の元へ戻っていった。

 リゲル団長も二人の話す様子を興味深げに見ていた。

「ロダとは知り合いか?」

 そう訊かれ、ハイトは頷いた。

「カイングネイトの学生時代の同級生です」

「ほう。カイングネイトの知り合いとこんなところで再会するのか。それはすごいな」

 リゲル団長も目を見張った。

「まぁ、積もる話もあるだろう。訓練が終わったらゆっくり話すといいさ」

 そう言うとリゲル団長も訓練に加わった。

 ハイトは団員達から離れたところで訓練の様子を見ていた。筋力トレーニングや走り込みなど、二時間ほど体を鍛える訓練をしてこの日は解散になった。汗だくになったロダがタオルで顔を拭きながら歩いてきた。

「ああ、きつい。週に二回はこういう訓練をするんだけど、毎回くたくただ」

 ロダが地べたに腰を下ろすので、ハイトも彼の隣に座った。

「お疲れ、ロダ。すごい訓練だったね」

 ロダは笑った。

「ハイトも自警団に入るんだったら同じ訓練をするんだぞ。――ところでハイト、今夜暇か? 飲みに行こうぜ」

「僕、下戸だよ」

「飲まなくていいよ。食事するだけでいい」

「それなら大丈夫」

 二人は夕方、定食屋で夕食を取る約束をした。

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