(補足)本作について

 タイトルや内容でお気付きの方もいらっしゃるかと思いますが、本作はベトナム戦争での出来事を題材にしています。


 1961年11月30日、ケネディ大統領はベトナム戦争におけるある作戦の遂行を承認します。


ランチハンド作戦Operation: Ranch Hand


 ゲリラの隠れる場所を無くし、食料を絶つために、強力な除草剤で森林を枯らせてしまおうという作戦です。作戦名の「ランチハンドRanch Hand」とは『牧場労働者』を意味します。牧場を開拓するように、邪魔な植物を伐採・排除するという意味が込められた作戦名のようです。


 この作戦で使用された除草剤は何種類かあるようですが、その中でも一番散布されたのが『オレンジ剤Agent Orange』と呼ばれるものでした。その『オレンジ剤Agent Orange』に含まれていたのが「TCDD」というダイオキシンの系列の中でも最も毒性の高い化合物です。


 これら除草剤は、日本では『枯葉剤』と呼ばれています。


 作戦が終了した1971年10月31日までに散布されたこれらの枯葉剤は8千万リットル以上におよびます。


 その後ベトナムでは、奇形出産率が高まっていきます(サイゴンで2.6%、集中散布地域では6.4%にも及んだ)。日本では「ベトちゃん・ドクちゃん(下半身がつながった結合双生児)」が話題になりました。また母乳からも高濃度のダイオキシンが検出されています。

 それらの原因が、米軍が散布した枯葉剤だと言われています。


 ベトナム戦争や枯葉剤の問題は、最近あまり話題にも上がらず、過去の話だと思われがちです。しかし、枯葉剤に曝露したのは300万人とも言われており、21世紀の現在も先天性欠損を抱える15万人の子どもを含む100万人が健康被害に苦しんでいる現実があります。


 半世紀以上前にひとの手によって燃え広げられていった見えない炎は、いまだに消えていないのです。




※一部Wikipediaより情報をお借りいたしました。



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牧場労働者 下東 良雄 @Helianthus

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