最終話
「亜由美、行こう」
「うん」
私たちは、これから校長先生にいじめのことを伝えに行く。
本当は心配だけど、お母さんが一緒にいるから心強い。
「あ、お母さん。ここが私が通っている学校だよ」
「桜ヶ丘中学校っていうのね、私知らないことばっかね」
「大丈夫だよ、これから色々教えて行くから!」
「あら、頼もしいわ」
後もう少し、もう少しで終わる。
この辛い日々が
「よし、行きましょうか」
「うん!」
「すみません、校長先生に話したいのですが、どこにいらっしゃいますか?」
「え、佐久間美優さん⁉︎」
「え、あの⁉︎」
「あぁ、そうです。私、佐久間亜由美の母、佐久間美優です」
「え! 亜由美さんのお母さんだったの⁉︎」
え、先生たちも知らなかったんだ。
もしかしたら、担任の先生と校長先生知らないのかな……
「はい、そうです。で、校長先生はどこにいるんですか?」
「あ、多分校長室で仕事していると思います」
「わかりました」
「あ、送りましょうか?」
「あ、いえ大丈夫です。亜由美と行くので」
「あ、そうですか。わかりました」
やっぱ、お母さん有名なんだな……
「よし、亜由美いこっか」
「うん!」
「ここが校長室だよ」
「案内ありがとね。よし入ろっか」
コンコン
「あ、はーい」
ガチャ
「え、佐久間美優さん?」
「そうです」
「それに亜由美さんまで……。急にどうしたんですか?
あ、いや、ここで話すより中で話しましょうか。どうぞ」
「ありがとうございます」
そして、お母さんはいじめられている事全てを校長先生に伝えた。
「え、そんなことが……
すみません、知りませんでした
亜由美さんのクラスの担任の先生にもそんなことは聞いていなくて……」
「そうだったんですか……。
あ、それで話に戻るんですけど、由里香さんと、
由里香さんのお母さんと話したくて、呼ぶことってできますかね……」
「あ、わかりました。今から電話で伝えます」
「お願いします」
「電話してみましたが、今から来るそうです」
「わかりました」
「そこで座って待っていてください」
「はい」
由里香ちゃんと由里香ちゃんのお母さんが来る……
どんな人なんだろう……
由里香ちゃんみたいな性格なのかな……
「亜由美……、もう大丈夫だからね」
「うん」
ガチャ
来た……、由里香ちゃんたちが
「おはようございます、亜由美ちゃんと、亜由美ちゃんのお母さん。
今日はどうしたんですか? 何も状況がわからなくて……」
優しそうなお母さんだ……。その隣には、由里香ちゃん……
「え、何も知らないんですか?」
「あの、私仕事でほぼ家を空けていまして……
詳しいことをあまり知らなくて。由里香にも話せていなくて……
今久しぶりに話したぐらいです」
「そうなんですか……。
単刀直入に言います。亜由美は由里香ちゃんにいじめられていました。」
「「え⁉︎」」
由里香ちゃんのお母さんと亜由美ちゃんが同じタイミングで反応した。
その後、由里香ちゃんは私のことを睨んだ。
いうと思っていなかったんだろう。
「亜由美、見せて」
「わかった」
お母さんにそう言われて、
私は今まで由里香ちゃんたちにやられてきた跡を見せた
「え……」
由里香ちゃんのお母さんはすごくびっくりしている様子で、
由里香ちゃんはすごく青ざめた顔をしていた。
そして、お母さんはいじめられていたこと全てを
由里香ちゃんのお母さんに伝えた。
「由里香、なんでこんなことをしたの……」
それは私も気になっていた……
なんでこんなことをしたのか……
「……」
由里香ちゃんは黙っているままだった。
その時……
パチンッ
急に
由里香ちゃんのお母さんは由里香ちゃんの頬を叩いた。
「え……、お母さん?」
「そんな子に育てた覚えはないわ!
本当に最低ね……」
そう言われた瞬間、由里香ちゃんは泣き始めた。
その後、由里香ちゃんのお母さんは急に座り、土下座をし始めた。
「本当に由里香がすみませんでした。
謝って済むことではないと思っています。
だけど、本当にすみません……」
「私に謝るんじゃなくて、亜由美に謝りなさいよ。
そして由里香ちゃんのお母さんが謝っても仕方がないでしょ。
由里香ちゃんに亜由美はやられたのだから」
「あ、そうですよね。
由里香、謝りなさい」
だけど、由里香ちゃんは立っているままだった。
「あゆ……」
亜由美ちゃんのお母さんが名前を呼ぼうとしていた時、由里香ちゃんがすごく
小さな声で言った。
「……亜由美、本当にごめんなさい
今まで本当に……。許されることではないとわかってる……
だけど、本当にごめんなさい…… ごめんなさい……」
そして、由里香ちゃんはその場に崩れ落ちた。
その瞬間、私は昔のある出来事を思い出した。
そうだった、由里香ちゃんは本当は、優しい人だったんだ。
今まで忘れてたな……
「……本当に辛かった。今まで……
だけど、許すよ。由里香ちゃんのこと。
だけどね、約束して欲しい、
それはね、友達になって仲良くすること!」
「え…?」
「由里香ちゃんは本当は優しい子だとわかってる。」
「え、どういうこと?」
「私ね、今思い出したんだ」
そう、あの時はお母さんが急にいなくなって、
私1人で色々やらないといけなくなって、大変だった時、
1人で買い物に行ったその帰り、あまり周りを見ていなくて
小さな段差に気づかなくて、私は転んでしまった。
そして、すごい泣いていた時に同じぐらいの年齢の子に、声をかけられた
『どうしたの? 大丈夫?』
その子は、由里香ちゃんだった。
その後、由里香ちゃんは、私の持っていた荷物を持ってくれて、
家まで送ってくれた。
このことを全て由里香ちゃんに話した。
「あの子、亜由美だったの?」
「うん、そう。
だから、本当は優しい人なのわかってる。だから、
これからさ、友達になろ?」
「うん…… 。亜由美、ありがとう」
「あ! 由里香ー‼︎」
「亜由美!」
「遅いよー」
「ごめんごめん!」
私たちは、その後仲良くなった。
お母さんには優しすぎ! って頭を撫でられた。
だけど、私にとっては本当にいい選択だったと思ってる。
だって、今毎日が楽しいし、本当によかった。
「じゃあ、いこっか!」
「うん!」
本当に美沙ちゃんや、お母さんに一番感謝している。
辛い時に支えてくれて本当に嬉しかった。
この恩は絶対に忘れない。
そして、本当にこのいじめに終止符を打ててよかった。
finish
ヒビが入ったあの日から こよい さくら ฅ^•ω•^ฅ猫部 @rikoko-
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