第14話

「おかえり、亜由美」


え、誰? 

今、家には私しかいないはず……


奥から出てきた人物、それは昨日、

美沙ちゃんに見せてもらった人と同じ人物。

私のお母さんだった。


「え、お母さん?」

「今までごめんね、1人にして。だけどもう大丈夫よ」


私は、お母さんが帰ってきてくれた嬉しさと、

その言葉の安心感で泣き出してしまった。



「お母さんは、なんで急に家を出ていったの?」


私は今まで気になっていたことをお母さんに聞いた。

なぜ、急に家を出ていったのか。


すると、お母さんは家を出て行くまでのことを全部教えてくれた。



お父さんは毎日仕事に行っていて、お母さんは家で家事をしていた。

しかしお父さんは出張だと嘘をついて、違う女の人と浮気をしていた。

その場面に遭遇したお母さんは、離婚をすることを決めた。


だけど、お金はお父さんが稼いでいたし、

離婚した時にお父さんがお金をほぼ持っていった。

だから、家にはお金が全くなくなってしまった。


「だからね、私は働くことにしたの。そして、亜由美には悪いと思ったけれど、

出て行くことを決意したの。本当に今までごめんね。辛かったわよね」


お母さんの言う通りだ。今までお母さんがいなくて本当に辛かった。

だけど……


「ううん、大丈夫。

 だってお母さん約束はしっかり守ってくれたもん」

「え?」

「私ね思い出したんだ。昔にね、お母さんがね

 『亜由美、私はお仕事へ行かないといけない。もしどうしても連絡したい。

 そう思ったら電話して。絶対に出るからね……』って私に言ったんだよ。

 だから、私お母さんに連絡したの。そしたらちゃんときてくれた。

 仕事が忙しいのにも関わらず……

 本当に自慢のお母さんだよ」

「ありがとう、亜由美

 亜由美も私の自慢の子供よ」


その後は、お母さんに今までの学校の話を話した。

いじめられていることも……


「わかった。亜由美、明日は一緒に学校に行こう。

 そして、その事を校長先生に言おう」

「え、でも信じてくれるのかな……」

「ちなみに、今までのいじめられた証拠って持ってる?」

「証拠? 殴られたこの跡しか……」


私はお母さんにその跡を見せて言った。


「それでも十分証拠になるわ。大丈夫よ、明日でもうおわるからね」

「うん」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る