第20話 悪役令嬢がやっていそう
「……!!!」
ぱぁぁっと部屋が光で満ち溢れた。ゴリ押し作戦、成功。
「じゃあ早速第3皇子に連絡しないとね!」
本当はどちらに先に連絡すればいいのかは分からなかった。とりあえず本人の許可が必要だろうとラリーに言って見たけれど……
今考えてみたら相手は皇子じゃん……しかもあの子のお兄さん。
わたしの寿命大丈夫かな。
「……ということなのですが」
「なぜ僕が?借りなんてあったっけ?」
ですねよね。予想通りの反応をありがとう。
……借り……借り……もう返されたしなぁ。命の危機も救ってもらったし……何も無いや。
「あの……ほら!わたし殿下の命を救いましたよね!?」
「それは祭りとレオナから逃がしたから借りは返したと思うのだが。」
ですよねダメですよね。感情とかでゴリ押し作戦しかないかなぁ。
「ぐすん……ぐすん……」
「……?」
偽の涙をポロポロ流して泣いているフリをする。
悪役令嬢がやっていそうなことを目的の為にやふとは……わたしって悪役令嬢なのかな。
気分屋、ドジ、間抜け面。神獣……悪役令嬢ではないね。この人間界では。神獣だもの。
「実はわたし、神獣だから命を狙われる可能性があるのです。」
「神殿の護衛騎士を使えばいいだろう。」
「それが、神殿は今財政難でして、警備の騎士を動かす訳には行かなくて。」
「じゃあ聖女さまは、その子の給料を変えずに護衛騎士にするつもり?流石にそれはひどくない?」
……あっ。やばいことになっちゃったな。余計なこと言っちゃった。財政難だなんて……。
今更正直に言う?人間を救いたいって……そしたら無茶って言われるんじゃ。
第3皇子……第2皇女から逃げながら生きてきただけある。頭の回転が速い。
わたしなんてナマケモノみたいな速さだしなぁ。時速0.3kmって、遅すぎだよナマケモノ君。
「聖女さまは嘘つきだね。で?何を企んでいるの?皇室を解体したいとか?それとも人間を全滅させたいとか?神獣なら考えそうだね。」
神獣にどんな偏見持ってんの。確かに過激派はそんなこと考えていそうだけどわたし平和主義ですぅ。
世界平和のために悪役になった聖女です。わたしなんでもやるよ。いつか人間と神獣が仲良くキャッキャウフフしてるとこ見たいんだからさ。
仲良く紅茶を飲みながら雑談してさ、
「今日も皆様お集まりいただきありがとうですわ!!」
とか言ってるの聞きたいの。そして1000年後には……
「エミ・クロックさまは女神さまですわ!!」
とか今聞くと訳分からない言語で喋ってるんじゃないの?こういうのも略されて
「げしゃ!」
だけで会話なりたたせてると思うんだよ。今すぐにでも降りたい人みたいになっちゃった。
いや女神とか考えてるわたし承認欲求激しすぎるでしょ。謙虚、謙虚。
「僕の目は騙せないよ。どんな欲望を抱えてるの?」
「世界平和です。」
正直に言ってゴマをする?媚びへつらう?プライドなんてわたしという神獣が聖女になった時から捨ててる。
だから今のわたしは無敵ってわけ!!
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