第15話 似合わない

「ん?これは……」


神獣の里での出来事だった。エミの父、エルトンは業務中に1枚の紙を見つけた。


督促状とくそくじょう


紙にはそう書かれていた。


督促状とくそくじょうとは、借金等の支払いが滞った場合、期日までに借金等の金額を入金をしてください的なやつだ。


(督促状とくそくじょう?エレンが何かをするために借金をしたとかか?)


エルトンはそう思い、エレンを自分の執務室に呼びつけた。


「父上、お呼びですか。」


ドアが開いてエレンが顔を見せる。


「ああ、さっき見つけたのだが、この督促状とくそくじょう、お前が私の名前で借金したのか?」


「いいえ。僕はもう普通に貴族として稼げますし、そんなにお金に困っていません。」


真剣な表情だった。嘘をついているとは思えない顔。癖も見当たらない。


「ふむ……私が酔っ払った勢いで借金したとかか?記憶にないがひとまず返済しておこう。」


「父上そんなにお金に困っていたのですか?それだったら僕が貸したのに。」


「違うわい。」


ちょっとした親子漫才(?)を繰り広げながらエレンは甘いお菓子を手に取った。


サクサクした生地の中にトロトロのクリームが挟まったマカロンだった。


エミなら似合うのだろうが、エレンには到底似合わない。


「そういえばエミの様子はどうですか?」


「……は?」


「父上ならエミの様子くらいは分かると思って。」


神獣新聞ではエミのことはなぜか滅多に報じられない。多分神獣が1番知りたいことあるとは思う。


俗に言う情報統制だった。必要最低限の情報だけが報じられる。


「こんな世の中だからな。今も至るところで人間が争っておる。」


なぜ人の自由を奪い自分の私利私欲を満たそうとするのか。哲学になりそうだから割愛。


一段落したエレンは部屋を出た。


エルトンは最近エミのことをかんがえすぎていて、お酒を大量に飲んでいたからか酒癖が悪くなったのだと信じて明示された金額を銀行で支払った。


クロック家は借金をするほど財力が無い家門ではない。これだけ言っておこう。借金した犯人は意外と身近に居るものですよ。


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菜乃みうです


第15話ご覧頂きありがとうございます。


人形劇と小説等は似たようなものと思っています。


※個人的な意見です。


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