第13話 世界平和を成し遂げるために

「あんたちょっと皇宮まで来なさいよ!ランスバン!!!」


連れていかれ、たら、終わる。人生。本気で。連れて行かれ、たら、鞭を打たれたり、舌を抜かれたり、する、多分。


世界、平和は、どうなるの!?クロック家、もろとも、壊されるん、じゃ!?


落ち着けわたし!ここで焦ったりしたら多分逆効果だ……し。


ランスバンという人は、真っ黒な髪と、真っ赤な瞳をした、13歳ほどの男の子だった。わたしよりも少し身長が高く、成長期真っ只中だと思う。


「ランスバン!!その女を捕まえなさい!!お父様に言いつけてやるんだから!!」


面倒なことになった。大変なことになった。誰か助けてくれない?


無理か。わたしを助けられる人なんて第3皇子しか居ないや。第1皇女は申し訳ないけれど当てにならない。


第3皇子のアイザック・エルフェルト……!!


そういえばあの人手紙で堂々とエルフェルトって名乗ってた。言われてみればあの鳥の紋章も皇族のものだし。


ランスバンという男の子に両腕をがっしりと掴まれた。無駄な抵抗は辞めて、大人しく連行された方が身のためなのかな。


そんな訳はない。格好悪いけれど、足掻くしかない。聖女であり続けるために、世界平和を成し遂げるために。


「やぁ!ちゃん!やっぱり祭りに来てたんだ。僕の妹がごめんね?少し乱暴な子だけど、根はいい子だから。許して。ね?」


……??わたしエミなんですけれども?


振り向くと、第2皇女とそっくりで、見覚えのある真っ白な髪と、緑色の瞳をした男性が立っていた。紛れもなくアイザックさまだった。


本当に第3皇子だったの。聖女になって早々関わってしまったじゃん。仕方がなかったことだけれども。


「ミエちゃんは僕のちょっとした知り合いでね。君、両腕を離してあげて。一応レディーだからさ。」


1番有力な後継者候補で1番権力の強い第3皇子の指示には逆らえないのか、ランスバンという男の子はすぐに両腕を離した。


そのかわり、怯えた表情で第2皇女を見つめていた。性悪の悪女という噂は本当のようだった。


「ミエちゃん、今度また神殿に行くから!神官のお仕事、頑張ってね!」


「……はい!ありがとうございます!」


本当にありがとうございます。凄い感謝してます。あまり皇族とは関わりたくは無いけれど例外作りたい。神様、仏様、第3皇子殿下。


わたしが神獣だとバレないように名前を偽り、聖女だとバレないように神官と偽る。


さすが、魔塔に1目置かれているだけある。


そのままひっそりと神殿に戻った。皆にお土産でも買いたかったな。


神殿には自治権があるから第2皇女が皇帝陛下にどれだけチクろうと、わたしを処罰することは難しいと思う。特に罪を犯した訳ではな……


ふと、嵐のように記憶が舞い込んできた。


「れ、、人の外見をいじっちゃダメでしょ!ただローブを着ているだけなのに!」


「あので皇帝陛下に溺愛されていて第1皇子と第2皇子をしたな第2皇女!?1なんですけど!?」


犯してた……不敬罪……お祭りが開かれていたところは神殿の外……終わった。聖女人生。


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菜乃みうです


第13話ご覧頂きありがとうございます。


レオナが本当に根はいい子なのかよく分かりませんね。レオナが皇宮に戻ったら真っ先に何をするのか不思議でなりません。


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