第12話 貴族か平民か

「あのぉ、大丈夫ですか?震えているように見えるのですけど……。」


「あ、もちろん大丈夫です!!」


女の子の使用人はなにかに怯え、拒絶するように言った。


貴族家にも色々課題があるのかなと思う。そこの課題は皇族でしか変えられないけど。わたしは聖女だから神殿しか管理できないし。


……そういえば、さっきの休憩の時に皇族に関するニュースを……第1皇子と第2皇子が第2皇女に権力争いに敗れて殺されたとか……。物騒だね。皇族は。


今生き残っているのが第3皇子と第1皇女と第2皇女。


第3皇子は魔法が得意で魔塔から1目置かれていて、第1皇女は庶子でとにかく優しい。第2皇女は……皇帝から溺愛されている性悪の悪女だったかな。


皇族には絶対に関わりたくないや。


「ねぇ、あんた今私のことレオナちゃんって言った!?私はね、超すごくてこわーいお父様の愛娘まなむすめなのよ?お姉さんのこと、お父様に話したらお姉さんはお終いなのよ?」


顔は可愛いのに言っていることはヤ○ザの娘気取りの女みたいで可愛げがない。


この国の貴族家ってこんなにも衰退していたんだなぁと危機感を持たずに感じる。


そういえば悪役令嬢って位の高い親持ってるイメージで、顔が良かったなぁ。


ピタリと私の動きが止まった。金縛りみたいに動かなくなる。


悪役令嬢……この子が相応しい。7〜8歳なのにこんな才能を露にしているとは。


煽っているようにしか聞こえない。


「ちょっとあんた、名前言いなさいよ。どこの家?そもそも貴族?ローブを着て貴族気取りをしている格好悪い平民?」


こういう時なんて言うのが正解なのだろう。この国の貴族ではないし、かといって神獣の里では平民でもない。


中間……って答えたら流石にダメだよね。この可愛げのない子がぷんぷんになるだろうなぁ。


「この国では平民だけど、生まれは他国の貴族家だよ。無名の家門だから分からないと思うけどね。」


わたしのおかげでクロック家は神獣界でも人間界でも有名になりました。すみませんね。


でも人間界でクロックという苗字の家門はないから調べられたらすぐに神獣ってバレる。いや、調べないでも聖女になった神獣がクロックって苗字だからバレる。


しばらくして、笑いを堪えていた可愛げのない子はぷはっ!っと笑いながら息を吐き出し、大声で笑った。


「無名家門とかダッサ!レオナは、レオナ・エルフェルトって言うの!知ってるでしょ?第2皇女のレオナ・エルフェルト!」


れおな・えるふぇると?しかも第2皇女!?


「あの性悪で皇帝陛下に溺愛されていて第1皇子と第2皇子を殺害した極悪非道の悪女で有名な第2皇女!?1番関わりたくない人なんですけど!?」


ついうっかりと本音を本人の目の前で言ってしまった。


第2皇女は顔を真っ赤にして拳を強く握って震わせている。所々に血管が浮き出ていて本気で怒っている。


やばい!やばいやばいやばい!口滑らせた!


「あんたちょっと皇宮まで来なさいよ!ランスバン!!!」


連れていかれ、たら、終わる。人生。本気で。連れて行かれ、たら、鞭を打たれたり、舌を抜かれたり、する、多分。


世界、平和は、どうなるの!?クロック家、もろとも、壊されるん、じゃ!?


✄––––––––––––––✄

菜乃みうです


第12話ご覧頂きありがとうございます。


さあて、連れていかれるのでしょうかね。この後の話は……無計画です。でもエミの想像は行き過ぎなのでご安心を。


これを見られないエミはパニックになっていることでしょう。


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