第9話 神獣と人との違い
「……秘書が欲しい……ですか?」
聖女の部屋、執務室で、上級神官とエミは話をしていた。
「そう秘書!わたし一人で神殿を管理するなんて難しすぎる!」
「な、なぜ?」
神官はエミちゃん言葉に困ったような顔をした。
「神獣と人間には違いがあるのです!
人間は1から普通に努力して、才能を見つけ、それを極めて勝者になります。
けれど神獣は違う。神獣は生まれながらに授かった能力を察知することが出来る。察知することが出来るが故に才能が無い分野で努力することが難しい。
しかも聖女という役職は代々人間が就いてきた。人間の街でなのだから当たり前のことだけれど。
しかし今回、神獣のわたしが聖女になるという前代未聞の事態。だから神殿での神獣に関する認識は非常に薄い。
過去の聖女さま方が秘書を持ってはいなかったという記述は見たことがないから別に問題はありませんよね?それにわたしは神獣なので。」
さっきよりも長い文章の圧に神官は根負けした。
「分かった、分かったから。手配しておきます、」
逃げるように走って神官は部屋を出ていった。
なんだか作文のように言ってしまった気がする。気の所為かな。
数日後
秘書はふたり欲しいと上級神官さまに頼み込み、数日が経過した。
(人間から神獣への誤解を解いても、神獣から人間への誤解はどうやって解けばいいの?)
ペンをクルクル回しながらそう考えていた。
コンコンコン
入口のドアから3回ノックが聞こえた。
「聖女さま、初めまして、この度秘書に任命されましたリリとララです。」
「どうぞ。」
秘書は2人が良いと言った覚えは無いけれど、上級神官さまの気遣いなのだろうと思った。
ドアを開けて秘書となった2人が入ってきた。2人の姿を見た瞬間、目を疑った。
茶髪に茶色の瞳。顔形が双子のように何もかもがそっくりだった。どっちがどっちなのか分からなくなりそうだ。
「こんにちは〜!うわっ!薄ピンクの髪だなんて珍しいですね!あっこんにちは!私がララです!」
「こんにちは。聖女さま。リリと申します。」
前言撤回。どっちがどっちなのか凄い分かりやすい。いつまでも話している方がララ、静かなのがリリ。
「双子なの?」
「はい。ララが一応姉です。一応。」
この双子問題、早々に完結。
ララはおしゃべりな割に、仕事が良く出来た。ずっと話しているけれど、書類の方は完璧に終わらせている。
リリは静かだけれど、ララと同様仕事が良くできる。ずぅっと無言で書類に打ち付けられている。
強制労働みたいに見えるじゃん。そんなことないよ?ホワイト神殿ですから。神官の心は未だに黒いけれど。
あの日以来神官の悪行はかなり減ったけれど、まだ少しだけある。まだまだ仕事は終わらなそうだ。
(そういえばお祭りっていつ開催されるのだろ。ずっと楽しみにしているのに一向に始まる気配無いんですけど。)
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菜乃みうです
第9話ご覧頂きありがとうございます。
個人的には上手いこと言ったな。キランッ!とか思ってます。上手いとかはよく分からないのですが。
ララとリリがいるのならルルとレレとロロが居てもおかしくはないですよね。登場はしないとは思いますけれど。
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