第7話 あの日の褒美
「……僕をどうするつもりなのですか?」
「別に。わたしはただ雑用係を辞めたいか質問をしているだけ。神獣が偉そうに言っていると思ってもいいよ。」
ラリーが困った顔をした。そっぽを向いて顔を赤らめている。
「辞めたいです。幼い頃の自由に生きることが出来る暮らしがしたいです。」
「ふーん。」
幼い頃は裕福だったとかかな。ラリーは没落貴族の息子か。平民となったから神獣との戦争に駆り出され、捕虜に……ん?
何かがおかしい。神獣との戦争なら神獣の王さまがラリーを連れてくるはずなのに、ラリーを連れてきた王さまは人間だった。
人間同士がわたしの知らない間に戦争を起こしたとか?だとしたらなに仲間割れしてんの。
「ラリー。知っているだろうけれどわたし、エミ・クロック。一応は神殿の聖女。覚えておいてね。」
なんだかファンタジーみたいなこと言ってしまった。
格好つけてその場を後にした。後ろを振り返ったら負けだと思う。
部屋に戻ってそのまま気絶したようにベッドで眠った。
翌朝
「いい加減にしてください!ここは聖女さまのお部屋なんです!」
「その聖女に用があるんだ!」
朝から騒がしかった。あの日(第2話)を思い出す。
でも、病気とかではなさそうだし、もう一度寝てても良いかな。
あれでもあの日もそんな感じだった気がするし。一応起きておく?
起き上がり、白い聖女服を身にまとってドアを開ける。未だに騒がしかった。
「どうしたの?こんな朝っぱらから。」
一応わたし神獣だと言っても1日平均20時間寝てると言われるコアラなのですけど。
目の前にはあの日(第3話)の怪我をしていた身分の高そうな人が上級神官と取っ組み合いをしていた。
えっ、なにやってんの?
「ああ、聖女さま。お目覚めでしたか。いつもは昼まで寝ているのに。」
あなたたちが騒がしくするからでしょ……。
「聖女!聖女なら知っているだろう!この前僕を治した神官は!」
「神官に聞けばいいでは無いですか……。あなたを治したのはわたしですよ。」
身分の高そうな人は目を丸くしていた。神官に聞けばいいという正論が刺さったか、わたしが治したということを信じられないか。
「聖女だったのか。ならば褒美をやらないとな。なにを望む。金か?身分か?土地か?」
お金は要りません。聖女としての給料が入っているので。身分も要りません。パーティーとかやりたくないので。神獣なので。土地も要りません。仕事増やしたくないので。
望み……褒美……
「では、––––––でお願いします。」
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菜乃みうです
第7話ご覧頂きありがとうございます。
ゴールデンウィークも終わりましたね。これが投稿されている時は私は学校でしょうかね。
流行りには遅く乗るタイプです。
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