第21話 読むことについて③
大学生になると、自分の読みたい本など読む暇が無い日々になってしまいました。
近況ノートの写真を見ていただくと、大体、私が何になろうとしていたのか、察しが付くかと思いますが。
英語教師を目指しておりました。
建前的には。
というのも、私、英語、恐ろしく苦手なんです。
なのに、センター試験の成績が奇跡的に良くて、2次試験では、体調不良で途中で吐きに行ったにも関わらず、1問丸々すっ飛ばしたら、皆そこが難しすぎてできてなかったらしく、時間が足りなかったとのことで、すっ飛ばした私は、出来がよかったらしく。
うっかり教育学部の英米文学科に入ってしまっていました。
何度か書きましたが、私は、とんでもなく記憶力が悪いのです。英単語の意味もスペルも覚えられない。イディオムだって。だから、英語で書かれてある本を読むのが異常に遅い。同じ単語を何度も何度も調べてしまうので。
英会話の教室には小学校5年生から通っていて、英語のテストは、高校受験までは90点を切ったことはありませんでした。でも、高校生になって、自分の記憶力の悪さを思い知らされることになります。英単語も、公式も、世界史などのカタカナの名前も覚えられない。クラスで一番になれたのは、現代国語だけでした。
大学に入って暫くは、普通の、というかバブリーな時代の大学生みたいなこともしておりましたが、専門の授業が多くなると、そうはいかない。英米文学、英語史、音声学、LL、英語教育、等々の英語についての講義、実習以外に、教育学の専門もあります。
とにかく日々英語の本を読んでいたり、そのレポートを書いていたり、教育学の方でも容赦なくレポート課題。ついでに一般教養からも。
英語はね、できないんです(笑)。
そりゃ、何年もやってりゃ、簡単な英会話くらいはできるし、相手が何を言ってるかくらいはわかりましたけど。
で、英語のテキストと共に、日本語訳の本も持ってました。英語で読んでいると次の授業に間に合わないから、カンニングです(笑)。それで、日本語訳の本もどっさりあります。
「読まなければいけない本」という窮屈さはありましたが、それでも、やはり名作文学は面白かったです。
卒業論文は、スコット・フィッツジェラルドの“Tender is the night”(『夜はやさし』)で書きました。
精神科医のディックと、その妻で精神を病むニコルの物語で、その愛情の種類の違い、ベクトルのずれみたいなことから、二人の距離は段々と離れていく、という物語なのですが。深く読めば読むほど、互いに相手に求める気持ちや、自分がどうありたいか、などの発見があって面白かったです。
英語で書く前の、日本語での中間プレゼンでは、絶賛されました。
が、英語で書くと、酷い。
「英語力がなかったんだね」
と、担当の先生が残念そうに仰っしゃって、卒業になんとか間に合う単位を下さいました。
こんな感じで、大学生の時の読書は、苦しみながらでした。
勿論、英語教師の道は選びませんでした。こんな出来の悪い先生に教えられる生徒が可哀想。それに、苦手なことを職業にしたいという気持ちもなかったので。
そこから10年くらいは、仕事や、結婚して育児に追われて、本は読んでいません。
読書好きの私にとっては、暗黒の時代が続いておりました。
④に続きます。
※近況ノートに写真があります。
https://kakuyomu.jp/users/hiyuki0714/news/16818093081228467223
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