第22話 読むことについて④

 私を襲ったのは、悪夢のような地獄でした。何を見ても何も感じなくなって、重症の鬱病と診断され、実家に戻って1ヶ月ほど経った頃だったでしょうか。  


ご飯もやっと食べられるようになり、SNSの走りみたいなところで、そういう話をできる仲間もできました。


 丁度、その頃でした。主治医から、思い切って入院しましょう。と言われたのは。

「何も考えず、心を休めることも必要です」と。


 仲間に、入院を報告し、暫くPCの前には帰ってこれないことを告げました。


 入院して、やっぱり精神的な浮き沈みはあったものの、段々と良くなっていくのがわかりました。

 そんな時、仲間の一人から、本のプレゼントが届いたのです。

 

 絵本でした。

『100万回生きたねこ』と、『やさしいあくま』という2冊の絵本。

「あなたに読んでほしくて贈りました」

 というメッセージと共に。


 泣きました。

 心に優しさが染み渡って。

 本からも、その人からも。


 絵本を読んで泣いたのは、いつぶりだったでしょう? 


 それを機に、本が少しずつ読めるようになりました。

 


 読みたい本があって、それを持ってきていました。でも、なかなか本が読める様にならなくて、ベッドの上の棚に置いたままになっていました。

 それが、江國香織の『冷静と情熱のあいだ』でした。江國香織は、Rossoの方しか書いてないんですけど、(Bluの方は辻仁成)凄く凄く上質な肌触りの文章に、完全に惹き込まれました。この人の文章がもっと読みたい! それが、江國香織の作品を読むきっかけとなりました。言葉のチョイスとリズム、柔らかなイメージ、言葉の肌触り。今でも、とても好きな作家さんの一人です。

 


 自分の気に入った本を読んでいいんだ。絵を描いてもいいんだ。詩や文章を書いていいんだ。私が楽になることをやっていいんだ。

 それは、私にとって、大きな気付きでした。


 楽になれました。しゅうっと空気が抜けたみたいに。緩くなりました。


 

 遅ればせながら、30を超えて、やっとミステリーを手にしました。

 弟たちが読んでいた東野圭吾、綾辻行人、岡嶋二人、たまたまテレビで観た伊坂幸太郎、圭さん(現夫、仮名です)が勧めてくれた宮部みゆき、横山秀夫、などなど……。

 なんでしょう? この世界は? 私が入っていったことのない、この楽しい本の世界は?

 

 めちゃめちゃ読みまくりました。今でも、夫が買ってくる、宮部みゆきは読みますね。でも、基本的に、ミステリーの入口は読んでなかったりするので、七倉イルカさんにお勧めされた、『江戸川乱歩短編集』を読み進めているところです。他に、これは読んでおくべき! という本があったら教えてくださいね。(めちゃめちゃ多かったらどうしましょ、汗)。


 写真は、蔵書の一部です。江國香織と宮部みゆきコーナーですね。あとは、このへんの本を読みましたよ〜、の一部。弟たちに借りたのは返したし、本棚の後ろの方にあって、取り出しにくい物は省略しました。


 今は、いつでも読めるように、ウェブ書籍を購入してしまっていますが(本屋さんが40km先だったりするので)、個人的には、紙の本が好きです。紙のほうがとても丁寧に読んでいる気がします。



 それにしても、私が買うのは、いつも文庫なのに、夫はいつもハードカバー。そういうとこ、お金かけられていいな〜、と思う反面、場所を取る!!

 うちは、2階のリビングに、ほとんど天井までの本棚が二つ。廊下に少し幅の狭いのが一つあるんですが、入りきってない!!

 夫の事務所にも、本棚に収納できるはずのない量の本、本、本。


 その中には大量の漫画も混じっています。次回、漫画についても書いてみましょう。

 ⑤に続く。


※近況ノートに写真があります。

https://kakuyomu.jp/users/hiyuki0714/news/16818093081403903606

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