第15話 料理について②

 私が一番最初に盗んだ味は、お好み焼きでした。


 高校時代、学校からの最寄り駅の近くにお好み焼き屋さんが2軒ありました。

 1軒は表の道から見える人気店。もう1軒は、知らないと入らないような裏道にありました。表の人気店も美味しかったのですが、私は、その裏道にあるお好み焼き屋さんの味が大好きで、当時の彼氏や友達とよくそこに食べに行っていました。

 学生なのでお金がなくて、私たちはいつも野菜焼き。280円。この、野菜しか入ってないお好み焼きが、目茶苦茶美味しかったのです! 何が入っているんだろう? どうやったら、これが家で焼けるんだろう?

 焼く前に、器の中を確認しながら、ソースもすっごい味を確かめながら食べます。


 私は感覚過敏です。(40歳を超えてわかった「アスペルガー」が原因のようです。ボーダーだから気付かれ辛いんですけど)

 聴覚も嗅覚も触覚も味覚も、全部普通の人より敏感なんです。視覚の場合は近視なので、何もないかと思ったのですが、光などには物凄く敏感です。

 

 味覚を全集中して食べていました。


 余談ですが、私は、聴覚過敏のため、お好み焼きを入れてくる金属のボールを金属のスプーンで混ぜる音が、死ぬほど苦手でした。1秒たりとも聞けません。それで、そこは全部、一緒に行っていた人にお願いして、耳をふさいでいました。苦手というレベルではなかったですね。3秒聞かされたら気が狂うだろうという恐ろしいレベル。地獄の音です。

 そこまでして、お好み焼きを食べに行っていたのです!


(この、金属の音が死ぬほど苦手という感覚は、ある日、母親に自分の辛さを全部全部全部全部ぶつけて号泣して、気を失って、気が付いたら、なくなってたんです。物凄く大変だったあの音、みんなにはこの程度にしか聞こえていないの? って感じでした。カタルシスは必要なのかもしれません)


 話が逸れましたね。戻しましょう。


 家で何度も何度も焼いてみて、

「あっ! これだ!」

 って味になった時の喜び。


 キャベツ、万能ネギ、海老味の天ぷら(さつま揚げのこと)、紅生姜、水を切ったコーン缶、長芋(なければ片栗粉)、卵、小麦粉、水。で、作ります。出汁は使いません。

 これが基本で、あとは好きな肉を乗せたりして焼くのです。


 野菜は適当にお好きな量をみじん切り(粗みじんくらいでOK)にすればいいんですが、問題は、長芋(片栗粉)、卵、小麦粉、水を、どんな配合で入れて、どこまでのゆるさで練るか。

 もうね、これは、まったくの感覚なんですよ。前述の通り、私はボールの中の種を混ぜることができなくて、そこが盗めない。

 試行錯誤を繰り返し、やっと練り加減がわかるようになりました。


 ですが……、これ、全く持って私の感覚で作るので、人に教えづらい。弟たちにも、作り方は教えたものの、粉の練り加減が結局伝授できず仕舞い。

 母が、弟の焼くお好み焼きはイマイチなので、私のが食べたいと、たまに電話で言ってきます。ん〜、お好み焼き作るためだけに遠距離帰省は無理かな。



 それから、これは写真にも載せてあるのですが、「ドライカレー」も、盗んでまいりました。大学時代のことでした。


 通っていた大学近くの駅の前に、軽食も出す喫茶店がありました。そこは、所属していたサークルの、行事や大会後の反省会会場にもなっていて、よく通った店でした。

 いつも、飲み物だけを頼むのですが、たまたま友人と二人で行った時に、軽食を摂ることになりました。


 無類のカレー好きの私が頼んだのが、「ドライカレー」でした。

 何も考えずに、友達と喋りながら、一口。

「え? なにこれ?」

 スプーンが止まります。私の異変に気づいた友達が心配します。

「なになに? なんかあった?」


「めっちゃくちゃ美味しい!!」


 それが、その「ドライカレー」との出会いでした。


 この味は盗まねばなるまい。

 そう思って、通い詰めましたね〜。


 そして自分で作ってみる。

 ベースは頭の中にあるんですよ。19歳の時に半年間修行(笑)したレシピの中にも、ドライカレーがあったので。これに何を足し、何を引くか。カレー粉も少しマイルドにしてみよう。甘さはリンゴジュースなんかどうだろう? ちょっとソース系が入ってるな。甘いトマト味はケチャップか? ん~~?


 で、出来上がったのが、現在の味。(レシピについては、「緋雪猫 ドライカレー」で検索してみてください。多分出てくるかと)

 家族に作る以外にも、友達を呼んでのホームパーティーの時に出したり、どうしても食べたいっていう、SNSで仲良くなった友達(実際に会った人にだけですが)に、冷凍して送ったりしてました。凄く好評でした。


 今でもよく作りますね。

 特に、次女が食べたがって。旭川の家に泊まりに行った時にも、「作って〜」って、妊婦、めちゃめちゃ食べてました。これこれ、これ以上体重増やしたら産む時に大変よ(汗)、って言いながら。


 

 こんな感じで、食べて美味しかったもので、再現可能だと思われるものは、トライしてみます。材料や、調味量、スパイスなんかの味もわかってないとできないんですけどね。

 せっかく感覚過敏な体質なのだから、苦しんでばかりないで、有効活用致しましょう。



 さて、まだ書けますね。

 ③に、続きましょう。


※近況ノートに写真があります。

https://kakuyomu.jp/users/hiyuki0714/news/16818093079603974084

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