文音

その小さな音と私達

人と人を繋ぐのは言葉だと思う

だから私達は口を開く

言葉を紡ぐ

それなら

言葉を書き起こした文字は

文字を繋げた文章は

言葉と同じくらいすごいってこと

そう思うと私は文字から音が聞こえてくる気がする

優しい音

楽しい音

厳しい音

それは必ずしも言葉通りの質感の音でなく

たまに釣り合いが取れない時がある

だって言葉だってそうでしょ？

本当に口にした言葉と

込めた想いなんて

違っていて当たり前なんだから

私は多分人と話すことが得意じゃない

誰かと目を合わせることも

話題を持って笑い合うことも

すぐには出てこない言葉をどうにかこうにか

意味のわかる形にすることしか出来ない

でも文字ならいくらだって書ける気がしてしまう

言葉と同じくらいの沢山の音が詰まった文字

ならいくつだって並べることができるって

そう思ってしまうんだ

私は言葉も文字も大切だと思う

どっちがどっちって訳じゃなくて

両方とも

なくてもいいなんてちっとも思わない

でも、私は文字が鳴らした音が大好きだから

私は言葉を詰め込んだ文字を書く

言葉の音を詰め込んで文字にする

私は文字が好き

文章から聞こえてくる音が心地よくって

みんなにも聞こえたらどれだけ素敵だろうって

私は思うんだ