第6話:初ハグ、初キス。

優奈のパンツは見て見ぬ振りを決め込む僕。


「大人の事情って私には分からないけど、愛し合って結婚したのになんで

離婚しちゃうんだろ?」


「そうだね・・・結婚してから相手のダメなことが分かることもあるんだろうね」

「その人の性格とか・・・相性とか」

「家庭ってエリアに入るとお互い恋人でいる時とは違って来るんだよ」


「こんな人じゃなかったのにとか・・・あるんじゃないかな?」

「ある程度は妥協しなきゃいけない部分出て来るんだろうし」

「だって結局、他人同士だもんね」


「僕の知り合いにだって離婚した人けっこういるよ」


「そんなもんかな?」

「相思相愛って難しいの?」


「そうだね・・・基本的にお互いの価値観が同じじゃないと難しいのかもね」


「要平、案外冷静に分析するんだね」

「やめよう・・・こんな話」

「先のことは誰にも分からないことだし・・・」


「そうだね、でも僕たちはそうはなりたくないな」

「僕はね、自分が幸せになりたいって思ってるんだ・・・その願いを叶える

ためには、僕の恋人が幸せじゃなきゃ成り立たない」

「だから僕は優奈を大切にするよ」


「ありがとう・・・私も要平を大切にするから・・・」

「私を一人にしないでね・・・お願い、もうひとりぼっちはイヤ」


「大丈夫だよ、僕がついてるから・・・いつでも一緒だよ」


「うん、ありがとう・・・」


「あ、あのさ・・・優奈を抱きしめてもいいかな?」


「いいよ」


いいって言われたから僕は迷わず優奈を抱きしめた。

女の子の体って華奢で柔らかいって思った。

少しだけ淫らなことを考えた。


そして化粧っ気のない優奈からかすかに石鹸の匂いがした。

それはどこかで嗅いだことのある匂い・・・初々しい匂い。

とても新鮮だった。


「あ、あのついでって言ったら怒られるかもしれないけど」

「キス・・・・キスしても?・・・いいかな?」


優奈はなにも言わず、僕から目を伏せてうなずいた。

アドレナリン出まくり・・・気持ちが上ずって一瞬ためらった。


「いいよしても・・・」


僕のクチビルが優奈のクチビルに重なる。

高鳴る鼓動・・・早まる心拍数。

デープすぎない軽いキス・・・今はそれでいい。


僕は基本的に外人みたいなディープなキスはあまり好きじゃない。

チュって可愛く、さりげなくするのがいい。

そうあることが当たりまえみたいに・・・。


キスが終わったあと僕は間がもてなくて「あ、ありがとう」なんて言っちゃった。

「ありがとう」じゃなくて黙って抱きしめて「愛してるよ」って言えばよかった

んだよ。


またひとつ優奈との間隔が縮まった気がした。

優奈はまた僕をハグした・・・ハグしたまま目を閉じた。


「このままでいて・・・」


衝動的に気持ちが動きそうになる。

だけどそこまで・・・その後のことは今じゃないほうがいい。

優奈を求めるのはまだ早い気がした。

もっと彼女のことを知ってからでいい・・・完全にこの子だって確信を

得るまでは・・・。


それはたぶん優奈も同じだと思う。


結局、僕は7時過ぎまで優奈の部屋にいた。

優奈が作ったオムライスをご馳走になって、さあ帰ろうと思ったら、

まだ帰っちゃ嫌だって優奈が言うから、じゃ〜もう少しって思ったら

それから、いくらも経たないうちに優奈が僕の横でうたた寝をし始めた。


帰っちゃ嫌だって言っておきながら寝てるし・・・。


起こすのも可哀想だったから9時手前まで、そっと寝かせておいた。

でも、僕も泊まっていくわけにはいかないから優奈を起こした。


「もう帰るね」


「え?もうそんな時間?」


「9時だし・・・女の子の部屋に夜遅くまでいちゃダメだろ?」


「そうだけど・・・」

「え〜帰っちゃうの?」


「そう・・・お泊まりできるのはお父さんの許可が下りてから」

「うやむやにしたくないからね・・・」


「分かった・・・今日は来てくれてありがとう」

「楽しかった」


「僕もだよ・・・」


で、またハグしてチュってした。


憧れだった優奈との夢に描いたことが生々しいくらい現実になっていく・・・。


とりあえずここまでです。m(_ _)m

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風になびく彼女と彼女のパンツ。 猫野 尻尾 @amanotenshi

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