第22話逃げる方法

ネクの言葉を聞きレジサがゆっくり立ち上がり、ネクの方に近づき手を差し出す


「分かってもらえて嬉しい、ありがとう」


そう少し驚いた顔をしながらレジサの手を握る


握った瞬間、レジサが手を思いっきり引っ張り、ネクを鉄格子にぶつける


「んなことしないよ!馬鹿兄貴!いつまでも私が!兄さんの後ろについて歩くだけだと思わないで!」


そういってネクの腕を地面近くまで引っ張り、叩きつけて踏みつける


「そうか、お前はその道を選ぶんだな・・・まあせいぜい頑張れ、王家の者として、妥協も諦めも許さんぞ」


「それじゃあ、俺はこれから貴族のやつらと会議がある、じゃあな」


そういってネクが立ち去ろうとすると、レジサが


「もとからする気ないわよ、そんなこと」


とネクに返した、それを聞いたネクの顔はどこか笑っていた


「ーーーーーーーーーーーーーー」


今何か言った?クレが何も反応してないし、ただの気のせいかな?


「レジサ」


私が声をかけると申し訳なさそうな顔で


「ごめんね、巻き込んじゃって」


そういってきた


「レジサ・・・なんで断ったの?」


「えっ・・・」


情けない声を出して固まってしまった


「いやだって、3人のこと裏切って私だけ生き残るなんてできないし、それに嘘がばれる可能性あるし」


「別に裏切れとも1人だけ生き残れとも言ってないでしょ、それにもし嘘がばれても、もとから死刑は決まってるから変わらないと思うよ、それに抜け出せれば何かできた可能性だってあったし」


「た、確かに」


「もしかしたらレジサがやったことはあたりだったかもしれないぞ」


いつの間にか鉄格子の近くにいたクレが何かを拾ってそう言った


「何それ?」


「鍵だよ、多分牢屋と地下牢の出入口、そして私たちの手枷のね」


「さっき地面に腕を叩きつけた時にでも落ちたんでしょ、ナイスレジサ」


「まさかそんな奇跡みたいなことが起こるとは」


という私の隣で自慢げな顔しているレジサ、今回はいい方に転んだしいいか


鍵は手に入ったけど、これからどうするか、地下牢って言ってたし、それに今は私たちもいるから警備は厳重・・・いや待てよ本当に警備は厳重なのかな、だって私たちが入っている牢屋の見張りを誰もしてない、おそらく兜が少し見える出入り口の部分だけ


そして、警備が薄いのはあの計画のせいだと考えたら、おそらくあそこにいるのは2人、多くても4人、それなら強行突破もできそう、しかも貴族とネクは会議中・・・いや待てよ都合がよすぎる、何かあるんじゃ・・・


「ラナ、深読みせず、そのまま受け取って大丈夫だと思うよ、今回のやつは、というかそれしか道はないと思う」


「まあ、そうだよね」


そうクレに返して私は気づいたことを3人に話す


「ってことに気付いたんだよね、あとは構造さえわかればいいんだけど」


「構造については詳しく知っていますが、説明するには複雑ですし時間もかかるので移動しながらにしましょう」


「じゃあお願いシルファ」

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遺物好きと長寿エルフの長い旅路 きよグ @isagin

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