26話 復讐

「何故だ....」


移転したインセクト本部は血まみれになっている。


「何故裏切ったアインス!」


白髪の老人が叫んだ。

その声にゆっくりとアインスは振り返る。


「裏切っただと?

俺は別にお前らの味方じゃない。

呪いで逆らえなかっただけだ。」


「呪いを解いただと?!

不可能だ!」


老人が血を吐きながら言った。


「それができるんだな。

鬼神化によって暴走した時の俺の力は呪いの力を超えた。」


アインスは老人の前に座り込み話した。


「お前らは呪いを手に入れた時、まっさきにキングを狙ったが無理だったみたいだったな。

元があるからいけると思ってたようだが、キングには既に呪いは残ってなかったかたのがお前らの敗因だ。

俺は呪いにかかったが今日やっとその復讐を果たすことができた。

最高の気分だ。」


そう言ってスキルを発動する。


「本当はキングも復讐したいだろうがここは俺に譲って貰うことにしよう。

そのために本部も移転させたし。」


アインスが腕をふるうと血しぶきがあがり 「ドサッ 」と倒れる音がした。


◇◇◇


「遅かったな。」


アインスがそう言った先にはカーターがいた。


「お前、正気に戻ってるならさっさと言えよ!

しれっと自分一人だけ復讐完了させてるし。

ずるいぞ!」


「正気に戻ったのは暴走した後だ。

それにキングの復讐はもう終わってるだろ。

こんな組織あれに比べたらかわいいもんだ。

ちょっと呪いかけられそうになっただけだしな。

俺なんて5年くらい呪いに拘束されて働き続けたんだぞ!」


「まあそうだな。

1人で終わらせたことは許してやるよ。」


アインスの勢いに負けたカーターはしぶしぶアインスを許した。


「一応言っておくが俺は呪いで弱体化していたんだからな!

そこんとこ忘れるなよ!」


「はいはい。」


カーターは面倒くさそうに頷いた。


「そういえばこれからどうするんだ?」


「とりあえず冒険者ギルドに戻る。

失踪したことになってるけどなんとかなるだろう。」


アインスもカーターと同じくAランクだ。

Aランク冒険者は数が少なく貴重だ。

失踪していたとはいえすぐに受け入れてもらえるだろう。


「悪かったな...」


「何がだ?」


「俺が居なくなったせいでパーティを解散したんだろ。

せっかくSランクまでいったのに。」


Sランクはパーティではないと原則到達できない。

ソロだとAランクが天井だ。

パーティが解散した時点でカーターはSランクの肩書きを失った。


「気にするな。

原因はお前だけじゃない。」


そう言ってアインスの肩を叩く。


「じゃあもう行くか。

誰かに見つかったら面倒だ。」


そう言って2人歩き出した。



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ライジング おきた @okitadx

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