第13回角川つばさ文庫小説賞応募作品とのことですが、子ども達のいきいきとした表情、衝突や葛藤、芽生える友情など……夏休みにふさわしい王道中の王道の大冒険です!
文章の読みやすさは抜群で、簡単な言葉の中にもちゃんと小説としての面白さがあり、作者様は子ども向けでない小説も書かれているのでその器用さに脱帽です。
小学生に寄り添った内容でありながらも世の中に問題を提起する姿勢も見られて、単純に『子どもに読ませるんだからこれくらいでいいだろ』となっていない所がまた素晴らしいなと感じました。
対象の小学生にはウケる事間違いなし!(私は大人だけれどウケました!笑)
さぁ、君もソーヤたちと一緒に夏の大冒険に出てみませんか?!
リュックいっぱいのサバイバルグッズと、謎の宝の地図。そしてワイワイと騒ぎ合える友達……。
これだけそろえば、もう説明は不要でしょう。
本作は、誰もが一度はあこがれたであろう、王道の冒険物語です。
主人公の奏也(そうや)は、素直で元気な小学五年生。勉強はあまり得意ではなさそうですが、明るく、見ていて飽きない男の子です。
ひょんなことから、奏也は、同級生の紫(ゆかり)と晃牙(こうが)と一緒に無人島で大冒険をすることに。
でも、冒険にはトラブルが付きものでして。
ガチのお嬢様な紫と、クールな晃牙はあまり馬が合わないようだし、
現代社会に生きる小学生に、無人島生活は大変そうだし、
極めつけに、彼らの冒険の裏には、何者かの思惑が隠れている気配もあるし……
さて、彼らの冒険の結末はいかに。
最後に、私の本作のお気に入りポイントを一つ。
本作の登場人物たちですが、みなそれぞれに、年相応の悩みにぶつかりながら、日々を送っています。それがリアルで、生き生きとしているのですよね。でも、決して重すぎるわけではないのです。たぶん、主人公の奏也くんが持ち前の明るさで、作品全体を照らしてくれているのでしょう。
彼の言葉を借りるなら、こうでしょうか。
「一緒に楽しく、冒険しようぜ!」
青い空。白い砂すなはま。どこまでも続く、広い海。
見たことのない景色けしきが、奏也〔そうや〕の目の前にある。
「え……なんだよ、ここ……どこだ?」
「どうやらオレたち、そう難なんしたみたいだな」
晃牙〔こうが〕が、まじめな顔をして言った。
「うっ、うそだろーーー?!」
ざざぁーん……
奏也のさけび声は、波の音に消えていった……。
「ねぇ、奏也。夏休みに、どこかへ行く予定はあるの?」
主人公、奏也の許嫁、紫のこの一言から、始まる大冒険。
一体主人公たちの運命は!? 無人島でサバイバルって……どうするのっ!?
是非、見てみてください!