フラグメントアクト 1
「お土産」
「何処にあった?」
「王宮の書庫」
「まあそうか。学院に無いんだったら、残りは王族のお膝元くらいだ。よく入れたね」
「中央勤めをしていると、鍵開けの魔法が使えるようになるんだ」
「俺には縁の無さそうな魔法だな」
「持ち出す許可までは取れなかったから、魔獣について記述されている部分だけ写しておいた。時系列順に整理した資料も作りたかったんだけど、そこまでの時間は無かった。ごめん。一応、日付に沿うように並べてある。後ろに回したのは未分類のもの。群史が多いかな」
「十分。助かる」
「そっちはどう?」
「王国側の資料を引っ繰り返して調べているが、以前変わらず。正確な日付の情報が足りないんで行き詰まってたところ。ただ、目撃証言は増えている」
「足の生えた魚のこと?」
「そう。手足の生えた魚が死んで流されていくのを見たって、何人か同じことを言ってる。エラが塞がっているように見えた、って証言も。ご隠居が遊びついでに探しに行ってるけど、まだ実物は上がっていない」
「時間の問題じゃないかな」
「俺もそう思う」
「ミカグラの民が記した文書の中にも、魔獣の女王の死骸を処理したとは書いていなかったよ」
「魔獣は穢れ、だからこの土地が忌避されてきたわけで、ましてや死骸に近づこうとはしないよな」
「海の底で魔獣の女王は生きている」
「まだ王女様だよ。女王の胎を破って出てきたばかりで、二足歩行も覚束ないようだし」
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