第50話 こんな状況下でゲーム?②
----------(タウロ視点)----------
ステータスを確認するとブランクになっていた血盟欄に、何と『地球の砂漠』が表示された!
驚いた!どうなっているんだ!
ステータスにゲームが反映した?
直ぐにLAINEで繋がっているゆうごに連絡をした。
ゆうごもゲームにログイン、血盟に加入。
カンさんにも伝えるが、今はPC(ゲーム)にログイン出来ないと言われた。どうも出会った怪我人の救助中だったようだ。救助が済んだらブックマークをして帰宅すると言っていた。
マルク君にも一応ゲームアカウントを作成してもらった。キャラの職業はもちろんウィザードだ。本人たっての希望だ。
驚いた。
マルクが血盟に加入すると彼の目の前にステータスが現れたそうだ。早速紙に書き出させた。
名前 マルク
年齢 12
職業 WIZ
スキル 魔法
「やったぁ!やったぁ、父さんと一緒だ!僕もウィザードだ!」
マルク君は大喜びでベッドの上でジャンプをし、パソコンをひっくり返してしまい慌てていた。
早速マルク君とフレンド登録、パーティにも加えた。
ミレさんとカオるんも飛んで帰ってきた。マルクにステータスが出た事を伝えると驚愕していた。
----------(カオ視点)----------
「父さん父さん、見て見てこれ!」
マルクが大はしゃぎで俺に自分の前の空間を見せる。俺も嬉しい。だが残念ながら他人のステータスは見えない。
一旦ホテルに帰還した俺とミレさんはマルクとフレ登録をした。
マルクにフレ画面からのメールや念話も教えた。
『父さーん、父さーん、聞こえる?』
『聞こえるぞ?』
『やったぁ!ふふはは、父さんと一緒、父さんと一緒』
「父さんと一緒、父さんと一緒」
うん、初念話あるあるだな。念話しつつ声に出すやつ。
「マルク君、マップやアイテムボックスを確認してください?」
タウさんが俺よりも上手く説明してくれた。マップの説明は、俺にはハードルが高い。
「アイテムボックスの一覧表を開いて見てください。頭の中で一覧表と言えば開きます」
タウさんの説明を俺も一緒に聞いた。
「うんと、何も入ってない」
俺は自分のアイテムボックスから色々と出した。
「マルク、これ入れてみな」
「はーい」
マルクはベッドの上に出したバナナを掴んだ状態で止まった。
「どうやって入れるの?」
そうか、収納鞄は、サイズはともかく入り口はあったからな。
「マルク君、触った状態で収納と頭で考えれば入りますよ」
タウさんがマルクに丁寧に教えてくれた。そうだな俺らは当たり前に使っていたからな。
ベッドの上から物がどんどんと消えていった。
「うわぁうわぁ、凄い!父さんみたい!」
大喜びのマルクを置いて、俺とミレさんはまた埼玉を目指す事にした。さっきの場所はブックマークしてあるので、お互いテレポートリングで飛んだ。
マルクと念話で話ができる。これは便利だ。スマホのLAINEを使っていた時はバッテリーを常に気にしていた。だが、念話なら電気要らずだ。
『父さーん、今、どの辺?』
『んー、どこかな?海の上だ』
『船に乗ってるの?』
『舟……というか、鳥だな』
『えっ、空飛んでるの?』
『いや、スワンボートだ。白鳥と言う鳥に似せて作った舟だ』
『へぇぇ、僕も乗りたい』
『いいぞ、今度一緒に乗ろう』
「……今度一緒に乗ろう」
「カオるんさぁ、マルクと念話出来るのが嬉しいのはわかるけど、時々、口から漏れてるからな」
その後、陸地が見えてる場所が増え始め、東京都の北部を足で越えていく。
ミレさんは異世界でもそうであったが、まるでゲームキャラのように身軽に瓦礫や崩れた建物を超えて行く。
その後ろから、俺はグラつく足場に腰が引けた体勢で何とか着いて行くのだった。
だって俺はウィズだからな。それに
そう言えばミレさんは幾つなんだ?10年前の異世界へ行った時の年齢に戻ると言ってたな。
「ミレさんって今いくつなん?」
「え?俺の歳?」
ミレさんは一瞬宙を睨んでいた。ああ、ステータス画面で確認しているのか。
「ふっ、俺様は36歳だ」
俺も自分のステータスを確認した。
「俺は39だ。何だ、俺とあんま変わんないのか」
ミレさんは一瞬ショックを受けた顔になった、逆にそれは俺がショックだぞ?
「カオるんはズリィよなぁ。49であっち行って、その時10歳若返って39で、向こうで10年暮して49になったのに今回戻って10年巻き戻ってまた39だろ? 何回39をやる気だよ」
むむっ、確かに。これで3回目の39歳だ。
「まぁ、見た目は39も49もそんなに変わらんさ。白髪が減ったのと、体力が戻ったくらいか?」
「そうだな、俺も今回10年巻き戻ると聞いて内心喜んだけど、向こうで46歳なって今36歳だが、そんな変わらんな」
「だろ?
そんな話をしているうちにいつの間にか埼玉県へと入っていたようだ。
「もう直ぐだ、ちょっと待ってくれ、メールする」
ミレさんはスマホを取り出して家族へ連絡を入れたようだ。
この辺りはほとんど水は無くなっていた。住民の姿もちらほら見える。散らかった家の中の片付けをしている人も多い。
「お兄ちゃぁぁん!」
遠くからした女性の呼びかけに、ミレさんが手を振って答えた。
「おーい」
ミレさんの家族を紹介される前に、兎に角東京へと皆を連れてテレポートをした。東京は丸の内のホテルMAMAN東京まで。
そこで落ち着いてミレさんの家族の紹介となった。
「妹の
「こんにちは、お噂はお聞きしてます」
「こんにちわぁ」
「タウロです。お疲れ様でした。無事で良かったです」
「どうも、カオです。これは息子のマルクです」
「マルクです。こんにちは……。妹とメイとメイとマコト? 4人?」
「いや、妹のような姪と、本当の姪……で2人か?」
ぶふっ
ミレさんが吹き出した。
年上の女性の方が一歩前へ出た。
「私が
「ああ、そうでしたか。すみません…………が、上杉悠人さんとは?」
「カオるん、俺、俺俺。俺の本名が上杉悠人」
「おお、そうだったか、そう言えば聞いた事がある気もする」
「言った事あるぞw まぁ、普段はゲーム名のミレイユだからな」
「叔父さん、ミレイユなの?女の人みたい」
「まさか、昔付き合ってたロシア人の……」
「ちがっ、付き合ってたのはフランス人だ! てかどうでもいいだろ、そんな事」
「あれ?洋子とかそんな名じゃ…」
「それは別れた妻だ! それは覚えんでいいぞ、カオるん」
マルクはスマホで何かを見ていた。
「僕は、魔法のマと、流れる?のルと、苦しいのク、で
「いや、違うからな、お前は普通にカタカナのマルクな。暴走族みたいな当て字はやめて」
「ぷふっ
ミレさんが大笑いしていた。マルクはどうもスマホで漢字を検索していたみたいだ。
変換するにしても
ミレさんの姪っ子の真琴ちゃんがマルクに近づいて話しかけていた。子供同士は仲良くなるのが早くて羨ましい。
「マルク君は何年? 真琴はね、5年生だよ?」
「ん?何年って何?」
「小学5年だよ?マルク君は外国人みたいだけど、マルク君の国には小学校無いの?」
「父さん、僕はショーガッコーは何年?」
向こうの世界に学校は無かったな。
「そうだなぁ、12歳と半年だから、こっちで言うと小6か中1あたりか」
「真琴が10歳で小5だからマルク君は真琴の2年上で、中1か」
ミレさんの姪っ子ちゃんよりマルクは2歳上か。
「うん。マルクは中1だ」
「僕はチューイチだって」
ホテルMAMAN東京は最大手の銀行であるみつは銀行の本店ビル、その上にあるホテルだ。
銀行は3階〜37階、その上の38階から49階がホテルだ。47階がフロント、48階がロイヤルスイート、49階が展望レストランだ。
俺らはその48階にあるロイヤルスイートルームを仮拠点として使用している。カンさんと合流して茨城へ行くまでの間の借宿だ。
48階にはロイヤルスイートの他に、プリンススイートや、プリンセススイートもあった。が、庶民な俺にはその違いが判らん。
タウさんはワイ浜のデスティニーランドホテルのスイートに家族を残して来ているらしい。そのタウさん曰く、この部屋は半端なく凄いらしい。
「本当に王族や大統領が宿泊するのでしょうね」
「だよなぁ。こんな時だから泊まれるが、部屋代が幾らか聞きたくないな」
「恐ろしい金額でしょうね」
「俺の年収くらいかな、一泊」
聞いていて震え上がった。
「は、早くカンさんちへ行きてぇ」
俺は庶民中の庶民だからな。いや、庶民より下民だ!もしかすると一泊が俺の年収10年分かも知れん。
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