第46話 警察もいいけどMTTもあるね

 タウさん、ミレさんと、ステータス画面のフレンド登録とパーティの登録をした。地球でもフレ登録や念話が出来る謎に若干驚いたが、ステータス画面があるのだから当たり前と言えば当たり前か。


 これでタウさん、ミレさんとはいつでも連絡が取れる。電波は関係なくだ。

 ただ、マルクはステータス画面が無いから、スマホは重要だ。



 ミレさんに手伝ってもらい俺のスマホのLAINEを使おうとするが、やはり職場はzuが繋がらない。


 昨日連絡出来たのが警察庁だった事を話して、警察庁へ移動しようかと話している時に、ミレさんが横にMTTビルがある事を発見した。


 水からビルと共に電波塔のようなものがニョキっと出ている。



「MTTなら電波キャッチ出来ないかな」

「けれどMTTはSOKOMOでしたよね?zuはどうなんでしょう」

「それもそうか、天下のMTTならと思ったが隣だし確認だけでもしに行くか?」

「空を飛べれば早いんですがね」

「だよなぁ。カオるん、空飛ぶ魔法は無いの?」


「無い。あのゲームに、俺がやめたあとにそんな魔法が出来たのか?」


「無いですね」

「無いよなぁ。じゃあさ、空飛ぶサモンとかいないの?」


「無い」


「ですよね。あのゲームは空中戦は無かったですから」

「だよなぁ。仕方ない、ボートでMTTビルへ渡って、外壁がいへきをよじ登るか」


「無理。よじ登れるのはミレさんくらいじゃないか?ウィズには無理」


「ああ、それならやはり警察庁に行きましょう。カオるん、そこはブックマークしてありますか?」


「ある、あるぜ」


「そうだよ、カオるんが居るんだからエリアテレポートで一瞬だな。ウィズ万歳!」




 そうして俺らは警察庁へテレポートし、そこでミレさんに俺のスマホのLAINEに、メンバーの友達登録の設定をしてもらった。




カオ]どうもお騒がせいたしました

カオ]無事LAINE登録出来ました


カンタ]カオるん!良かった

カンタ]無事だと思っていましたが、無事で良かったです


カオ]カンさん!カンさんも無事で何より

カオ] 翔太くんと逢えたか?


カンタ]ええ、お陰さまで。無事逢えました


カオ]ふふふ、実は俺も、マルクと逢えたんだよ!

カオ]こっちでだぞ?地球で!


ミレイユ]カオるん、皆知ってるよ


タウロ]カオるんより先にマルクくんがLAINEにINしましたから


ゆうご]カオさん!良かった無事だったんですね!


カオ]おお、ゆうご、ありがとな。そっちはバァちゃんと逢えたか?


ゆうご]はい。今のところ無事です


カオ]待ってろ?なるべく早く迎えに行くからな

カオ]モーターボートならチューっと

カオ]タウさん、モーターボートだと北海道までどのくらいだ?


タウロ]カオるん、モーターボートでは無理ですよ

タウロ]途中で燃料が切れます


カオ]あ、じゃあ、フェリーはどうだ? 俺、フェリー拾ったぞ?


ミレイユ]カオるん、猫拾ったみたいな言い方w



 そう言えば猫も拾ったな。ニャン太は今朝も綺麗なお姉さんの膝で丸まって可愛いく寝ていた。まぁ、可愛いさならマルクの方が上だがな。



タウロ]そもそも誰が操縦するのですか?私は出来ませんよ?



 タウさんとミレさんは首を横に振った。残念ながら誰もフェリーの操縦はできないようだ。



カオ]あれ?アネさんは?


タウロ]残念ながらまだアネさんから連絡は来ていません


カオ]そっか。無事だと良いな。いや、無事だな。


タウロ]カオるん……その根拠は?


ミレイユ]勘か?


カオ]いや。だって俺達ステータスあるし、スキルあるし、アイテムボックスあるんだぜ?



「そう簡単に死ぬわけがない」


「そうだな」

「そうですね」



 ちなみに、LAINE(スマホ)の入力に慣れないマルクは、流れのスピードについていけず、入力しては消してを繰り返していた。初心者あるあるだ。




 警察庁でのLAINEを終了した後に俺らは一度やまと商事の屋上へと戻った。


 タウさんは少し確認したい事があるようだった。

 ステータス画面のクラン(血盟)はやはりブランクであり、そもそも血盟の作成方法が不明だそうだ。この現実世界でどうやって血盟を立ち上げるのかがわからないそうだ。


 ゲームなら街の神殿だった。

 ゲームキャラを神殿のNPC(ノンプレーキャラ)の前に移動させてクリック。表示された血盟立ち上げボタンを押すと、血盟名を入力する画面が現れる。立ち上げた者が初代の血盟主だ。


 その後は血盟一覧に血盟が表示されるので、募集人数や挨拶、詳細などを設定出来た。

そして一覧から加入希望者が、加入申請ボタンを押すと盟主に知らせが飛ぶ。盟主が承認ボタンを押したら晴れて血盟加入となる。


 異世界ならまずは神殿の女神像の前で血盟の立ち上げだ。

 盟主はギルドへ血盟員募集の条件などを記載した依頼者を提出。掲示板に貼られる。その後のメンバーの加入・脱退はギルドの受付で出来た。


 血盟は元からあの世界にもあった。単にギルドの窓口での手続きだ。だがステータス持ちで転移した者達は、ギルドで手続きを行うと、何故かステータスにも表示された。勿論転移した者のみだ。


 そして戻ったこの世界、日本。

 勿論、ギルドや血盟システムなどない。血盟を立ち上げたくともどこで申請して良いものやら。

 たとえ隕石落下が無かった平和な世界であったとしても、市役所に行っても血盟立ち上げの申請窓口はない。


 タウさんはステータスを開いた状態で、口頭で血盟立ち上げを試したが、何の変化無かったようだ。

 ただただ血盟欄はブランクのままだった。



 全員がやまと商事の屋上のブックマークを済ませた。

俺はステータスが無いマルクにも、ブックマークを唱えさせた。39階、38階、13階もブックマークをしていく。


 実はここで大発見があった。

 マルクにテレポートスクロールを使用させたところ、マルクは13階から屋上へテレポートが出来たのだ。



「何故だ!ブックマーク一覧が無いのに何故飛べた?」

「ステータス画面がないのにブックマークは出来てるって事か?」


「だなぁ。神さまありがとう。マルクにブックマークを使えるようにしてくれて」


「マルク君が異世界から来たからか?」

「テレポート経験者だからだろうか?」

「そう言えば、あちらでも最初にカオるんがテレポートを経験させるのが習得のきっかけでしたね」

「でも、あれはステータスが見える人達だろう?」


「いや、開拓村の人達も普通にテレポート出来るようになってたぞ? 彼らはステータス画面はなかったよな? あれ?あったっけか?」


「くぅ、そこまで調べなかった自分が悔やまれます。あ、ゆうご君に連絡してみます。もしかしたら彼なら」


「それにしてもカオるん、よく気がついたな」


「気がついたって言うか、使えないと思わんかったよ。さっきマルクからヒールのスクロールを使った話を聞いたから、スクロールなら何でも使えると思い込んだw」


「父さん、僕テレポートならスクロールじゃなくても魔法が使えるよ? ほら、最近神殿の女神さまで覚えたじゃない」


「ん? そうだったか?」


「うん!」



「タウさん……考えたら負けだ」

「そうですね」




 その頃、カンさんは都心へ向けて内陸部をブックマークしながら移動を開始したそうだ。

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