後編「アギルナの休息?」※百合(ガールズラブ表現があります)

 

 アギルナは街の宿で風呂の湯に漬かっていた。

 戦いで受けた傷を回復魔法ヒールの魔力で癒している。


「痛っ、もう少し癒さなきゃ」

 彼女が胸の傷に手を掛けた時、何者かが後ろに現れ、後ろから羽交い絞めにされた。


「誰っ!?」



 アギルナは、肩を震わし振り向こうとする。

「振り向かないで」

 歌うように甘く、ささやくような少女の声が耳に聴こえ、彼女の胸がその子によって鷲掴みにされる。

「やめなさい!痛い目を見るわよ」



 得体のしれない少女の柔らかな胸が背中に当る。

「ふふっ、怖い怖い。どうする気?私もあのアンデッドみたいに燃やすの」

 くすくすと笑う声と、柔らかな胸と香水の甘い香りがアギルナを誘惑する。



「私、ノーマルだから誘惑しても無駄。だけど、女の子を燃やすつもりなんかないわ。あんたが何のつもりで、こういうことをしているかは分からないけど」



「へえ、意外と紳士的な女の子なのね。かあっこいい……」

 少女は、ほうっと溜め息を吐き、アギルナの胸をもてあそびながらかぷりと耳たぶを甘噛みする。



 言葉とは裏腹にビクンと震え、甘い吐息を漏らすアギルナ。

「あっ、やめて……そんなことは、変な気持ちになる」

「ふふっ、可愛い。私は、謎の美闘士とでも名乗っておくわ。あなたは必ず、私の世界に来ることになる。必ずね!」



 その言葉を最後にその怪しげな少女は風呂場からかき消えた。

「くっ、この私が手も足も出なかった!あの子は一体、何者なの?美闘士ってなに」

 アギルナは、悔しさと羞恥(しゅうち)心(しん)で唇を噛んで両腕で体を抱きしめた。


 -了-


 最後までお読みいただきありがとうございました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

灼熱のアギルナ(後編のみ百合要素) 夢月みつき @ca8000k

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ