第6話 オークション
「…いま次の…品が…たようで…
みなさ…大きな…手で…出迎え…さい」
彼は目を覚ました。
勿論まだ着ぐるみを着せられている。
ねむけ眼にはきつい眩い光、沢山の人々の歓声。
そして何かアナウンスのような声が聞こえる。
(そうか俺は気を失って…ここは…どこだ?)
先ほど引き回された通路でも、あの深紅の部屋でもない。
立たされている?なにか棒状のものに縛り付けられて、体が動かせない。
だんだん眼が冴えてきた。
しかし彼の目の前には信じられない光景が広がっていた。
彼は劇場のような舞台の上に立ったまま縛られ、スポットライトを当てられていた。
しかも大勢の人々にさらし者にされているのだ。
(これはいったい!?やめてくて!見ないでくれ!)
逃げ出そうにもポールに首、手、足首を縛り付けられていて動くことができないのだ。
舞台そでの方からマイクを持った一人のバニーガール…いや彼と同じ着ぐるみを着た人物が彼に近づいてきた。
「むぐぅぅ!むぅむぅ!」
「おっと今回の主役のお目覚めですね。皆さん、もう一度盛大な拍手をお願いします!」
観客達から大きな拍手がまき起こる。
まるで何が起こっているか理解できない彼をよそに着ぐるみバニーガールはその場を進行していく。
「彼女、いえ"彼"は私と同じ着ぐるみを着ています。しかし、私と違って猿轡を付けられているので喋れません。そうですよね?バニー君♪」
彼女はからかうように彼にマイクを向ける。
彼は何か訴えようにもくぐもった声しか出せない。
「むぐぅう!うう!」
「こんな感じです♪」
会場に大きな笑いがこみあげる。
彼はマスクの中で赤面し、怒りからぎりぎりと猿轡を噛みしめていた。
「現在彼はゲームに参加しています。オークション中にもお手元のタブレット端末に彼の写真や生配信の動画が届いていたと思います」
バニーガールが舞台上の巨大なディスプレイを指さす。
するとディスプレイには彼がSNSに投稿したあの恥ずかしい写真や、先ほどの屈辱的な生配信の様子が映し出された。
観客からはどよめきや笑い声、拍手など様々な反応が見られる。
彼の目にもディスプレイの映像が入ってしまった。
「うむぅぅ!ぐぅぅぅ!」
(やめてくれ!見ないでくれ!くそ!くそ!)
彼のくぐもり声が会場に響き、さらに観客が盛り上がる。
必死に暴れたところでどうしようもない。
しかも話の内容から今までも観客のタブレット端末にあの屈辱的な姿が映し出されていたことになる。恥ずかしいとかいうレベルの話ではない。
そんな彼を見てバニーガールもお腹を抱えて笑っている仕草をしていた。
「はぁ…はぁ…面白い…コホン!さてさて、話を戻しましょう。彼のお尻にはエッチなおもちゃが入っています。彼はそのおもちゃで今までになんと9回!9回も絶頂してしまいました!エッチなうさぎさんですね♪そしてこれがその…うっ…んんぅ…あっ!…あぁん!はぁ…はぁ…おもちゃ…ですよ♪」
そう言ってバニーガールは自分のお尻から何かズポッ!と引き抜いた。
なんとそれはディルドだった。
太くて長く、イボイボが沢山ついていて、バニーガールの尻尾のファーがついている。
観客から大きな歓声が上がった。
それを見て彼は自分の中にあんな禍々しいものが入っているのかと恐怖すると同時に、大勢の観客の目の前でそれを引き抜いて見せたバニーガールにドン引きしていた。
そして何もなかったかのようにバニーガールはそのディルドを彼女のお尻の穴に挿しなおそうとしている。
「んぐぅ…んんぅ!…あぁん!はぁ…はぁ…彼は…あと1回射精してしまうと…ふぅぅ…ゲームオーバーとなります♪そしてその最後を飾るゲームは皆さんに参加していただきますよ~!お手元のタブレット端末をご覧くださいね♪」
観客のタブレットにBETボタンが表示された。
これで一体何をしようというのか?
彼は何か良からぬことが起こるのではないかという不安から額に大きな脂汗をかいていた。
「BETボタンを押すと彼のお尻のおもちゃが振動します。制限時間10分の間に彼が絶頂した場合、それまでに一番BETボタンを押したお客様が彼の新たなご主人様になります。しかし1BETには1万ダラル必要になります。お財布と相談してくださいね♪」
彼はその説明を聞いて血の気が引いた。
この大勢の観客の前で敏感になっている前立腺をディルドで刺激され、絶頂した姿を晒されてしまうことに。
しかも10分間耐えきれない場合は客の中の誰かに自分が売られてしまうのだ!
1万ダラルがどれほどの価値なのかわからないが、こんな見世物を見に来る客達だ。金に糸目を付けるとは思えない。
彼は絶望的な状況に立たされていた。
「彼が絶頂せずに耐えきった場合、彼は着ぐるみから解放されて自由の身になります。果たして彼は絶頂せず堪え切れるのか!はたまた大勢のお客様の前で快楽に飲まれて絶頂してしまうのか!ワクワクしますね♪」
バニーガールのふざけた態度に彼は激昂していた。
そんな彼の元にバニーガールが近寄ってきて彼のお尻の穴をグッと押し込み、ディルドを深々と押し込んだ。
「ぐむぅぅ!!!」
「ちゃんと挿し込んでおきましょうね♪ぐりぐり!」
悶絶する彼をよそにバニーガールは彼の耳元で小さく囁いた。
「君のおもちゃと連動してね…私のおもちゃもね…動いちゃうの…ふふふ♪10分間一緒に頑張ろうね!バニー君♪」
「むぐぅ…!?」
意味深な言葉を吐き捨て、バニーガールは彼から離れ観客の方を向く。
「それでは皆さん用意はいいですかぁ?ゲーム…スタートです!!」
完
恥辱のバニーガール 着ぐるみに囚われた男 MenRyanpeta @MenRyanpeta
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