現代ドラマ

◆感想を書きたい「現代ドラマ」作品の選考


豆ははこ様の『春の星』

大田康湖様の『桜の花びら、ひらり』

双葉紫明様の『母猫』

刹那様の『春なんて、死んでしまえばいい』

クロノヒョウ様の『嫌いな春と、ランドセル』

フィステリアタナカ様の『あの人に会えた奇跡』

@zawa-ryu様の『ふうふ見ず知らず』

大和田よつあし様の『魔法使いの夜』

スロ男(SSSS.SLOTMAN)様の『春をひさぐ』

天川様の『婆不幸娘』

榊琉那@屋根の上の猫部様の『桜の国の散る中を』

めいき~様の『東風』

紫波すい様の『【短編】春の葬送』

ゆげ様の『飽和。』

青切様の『ハ、春』

秋坂ゆえ様の『桜に消えたあの人は紅葉を見ない。』

syu.様の『拝啓、花泥棒さんへ。』

ろくろわ様の『四月馬鹿』

神永 遙歌様の『私だって光輝く側の人間になりたかった』

きょうじゅ様の『春にして、君を離れ。』

ミナガワハルカ様の『ラ・プリマヴェーラ』

フィステリアタナカ様の『閉じ込められた幸運』

まーくん様の『春❣️』

未来屋環様の『散りばめられた星たちは、まるで』

川中島ケイ様の『Re:bright ~もう一度、輝くために。~Ep.1』

鈴ノ木 鈴ノ子様の『再び、芽吹く』



豆ははこ様の『春の星』

 テーマである春の象徴として桃の花を「春の星」という独自のメタファーで表現しながら、美しさと再生、人間の深い感情と生命の尊さを描いています。春の訪れとともに昏睡状態の妻が目覚める可能性を待ち望む夫が桃の花を贈るという深い愛情を描き、やがて妻の指が動く希望に結び付けられており、物語の結末は強い印象を与えます。


大田康湖様の『桜の花びら、ひらり』

 家族が一緒に桜を見る春の風景を描き、春の喜びと新たな始まりを象徴しています。共感しやすい家族の日常を描き、横澤さんという故人への思いや、新作の構想についての考えなど、家族の絆や人生の移ろいを優しく織り交ぜられています。桜の花が咲く瞬間を捉える描写は、読者に春の喜びを直接感じさせます。


双葉紫明様の『母猫』

 テーマの春が新たな始まりを象徴し、主人公が未来への希望を持ち続ける力となっています。春の訪れとともに生活の変化と挑戦を描いています。主人公は、自身の生活と子育ての困難を乗り越えようと奮闘する姿をリアルに描き出しています。主人公自身の母親としての役割と感情が上手く書かれており、共感できるでしょう。

 

刹那様の『春なんて、死んでしまえばいい』

 テーマの春は主人公の混乱と自己破壊、内面的葛藤と成長の象徴として描かれ、春の象徴としての桜と主人公の心情の変化が絡み合い、強い印象を与えています。人間の闇と絶望を描くことに焦点が当てられており、春の訪れに伴う変化が人生の転機となる様子は非常に感動的。苦悩と絶望を生々しく描き出すことで、強い感情を引き出されます。


クロノヒョウ様の『嫌いな春と、ランドセル』

 春のテーマは、主人公が新たなスタートを切る決意を固める象徴として描かれています。ランドセルというアイテムを用いて春を表現する手法は読者にとって親しみやすく、物語が一層引き立っています。新たな人生の始まりを感じさせる強いメッセージを感じ、旅立ちのシンボルとして、主人公の内面的変化を強調しています。


フィステリアタナカ様の『あの人に会えた奇跡』

 春のテーマは、主人公が新たな人生の道を歩みはじめる象徴として描かれています。自分自身と向き合い、思い出と現在に苦悩しながら過去の恋人と再会する奇跡を通して、自己の再生を達成する様子が書かれています。春の訪れとともに主人公が心の平和を取り戻す過程は、深い共感を呼びます。


@zawa-ryu様の『ふうふ見ず知らず』

 主人公が新しい共同生活を始めるストーリー。春のテーマは、主人公が新生活という新たな始まりを、四月の朝日や新しいシーツの描写は、春の新鮮さと清新さを象徴しています。シェアハウスで新しい生活をはじめる様子を通じて、強く共感を呼び起こすでしょう。


大和田よつあし様の『魔法使いの夜』

 春の新たな出会いとともに、短歌を通じて自己表現を試み、感情の揺れ動きや自己理解を深める過程を描いています。春のテーマは、新たな始まりや変化の象徴として、就職失敗から派遣をはじめた主人公が「魔法使いの会」に参加することで人生に彩りがもたらされ、参加者たちとの出会いと喜び、彼らが披露する短歌に春の情景や感情が盛り込まれて表現されています。季節の描写や人間関係、主人公の内面描写が組み合わさり、深い共感を呼び起こします。


スロ男『春をひさぐ』

 春のテーマは、主人公の欲望が芽生え、成長する季節を象徴しています。また、自身の欲望を追求することで、彼女の人生に新たな展開がもたらされます。主人公が自身と向き合い、欲望を追求する過程を素直に描き出しており、強い感情的な共鳴を引き起こします。


天川様の『婆不幸娘』

 孫が祖母のために自己犠牲を払いつつも、その行為が自己の罪悪感を和らげるためのものであり、桜の満開を背景にして複雑な感情が描かれています。春のテーマは、新たな始まりとしての桜と、主人公の罪悪感と季節の移り変わりを象徴しています。主人公の内面的な葛藤と季節の移り変わりを巧みに結びつけており、読者に深い共感を呼び起こします。家族間の微妙な関係性と個々の成長を上手く描き出し、リアリティある内容に深い共感を呼び起こされます。


榊琉那@屋根の上の猫部様の『桜の国の散る中を』

 主人公が自己存在と家族との関係性を探求する物語です。テーマ春の象徴である桜の花が、心情の変化と彼の人生の節目を象徴しています。主人公が少年との出会いを通じて、内面的な葛藤と成長を描かれており、自己探求の旅に共感するでしょう。


めいき~様の『東風』

 春のテーマは、老人が春の訪れを待ち望む形で描かれています。春の訪れとともに来る生命の再生を、老人の視点から見た春の風景が詳細に描かれており、孤独と絶望が印象的。老人の内面的な葛藤と春の訪れとの対比が、読者に強い感情的な共感を引き出します。


紫波すい様の『【短編】春の葬送』

 春のテーマは、彼女が愛読していたweb作家の消失という別れと悲しみ、戻ってくるのを待つ新たな始まりの期待感を同時に感じさせる形で描かれています。消失を強調するコインロッカーに、作家への感謝を桜の花びらに託して送るシーンは、春の美しさと切なさを象徴しています。web作家と読者という設定が、多くの読者に深い共感を引き出す力があります。


ゆげ様の『飽和。』

 友人の葬儀に参列する様子が描かれています。死を扱いながら、性別の問題や自己認識の要素が組み合わさり、強い印象を与え、多くの考える機会を提供した作品です。テーマの春を背景にしながら、成人式や過去の思い出など、時間の流れや変化が暗示されており、春がもたらす新たな始まりと終わりを象徴しています。


青切様の『ハ、春』

 春の象徴である菜の花や梅の花が過去の恋人を思い出すシンプルなストーリーに、主人公の心情や過去の思い出と結びつき、深い感情や人間の複雑さが描かれています。これらの要素が組み合わさって、強い共感を呼び起こされます。


秋坂ゆえ様の『桜に消えたあの人は紅葉を見ない。』

 春の桜は主人公と先輩の出会いと別れを象徴。秋の紅葉は先輩の不在を強調し、主人公の孤独感を増幅させています。物語の中心的要素として使われている春のテーマは、美しさと一時性、再生の可能性を象徴し、先輩との出会いと別れ、消失に絡めています。

 主人公が先輩との思い出を回想する形で進行し、悲しみと懐かしさが、強く伝わります。


syu.様の『拝啓、花泥棒さんへ。』

 恋愛の終わりと新たな始まりを描いています。恋人との別れを経験し、春の象徴である海や花が主人公の感情の変化を映し出すメタファーに用いながら、恋愛と別れを春の風景に絡めています。

 春のテーマは、主人公が新しい始まりと再生の象徴として物語全体を通じて描かれており、テーマを強調しています。

 感情的な深さと人間の経験に対する洞察により、読者に強い共感を引き出し、希望と前向きな気持ちを与えます。


ろくろわ様の『四月馬鹿』

 春の訪れと人間関係の微妙な変化を上手く絡めることで、出会いと別れを象徴するテーマ「春」を豊かに表現しています。

 カフェを舞台にして、春と蝉の鳴き声を背景に男女の会話を描いています。主人公は春の季節について考える中、男から突然の告白を受けます。主人公の内面的葛藤と春の風景との対比が、読者に深い共感を呼び起こします。


神永 遙歌様の『私だって光輝く側の人間になりたかった』

 新しい出会いと再生の象徴である春をテーマに、春にみられる変化を通じて、主人公の心情の変化をリアルに描いています。また、主人公が自己を見つめ直す過程が、春の季節の変化と密接に結びついており、読者に強い感情移入を促します。


きょうじゅ様の『春にして、君を離れ。』

 春の訪れとともに、大人への憧れと現実のギャップを描いています。テーマ「春」は新たな始まりを象徴する季節であり、その訪れは人々の心にさまざまな感情を引き起こします。

 主人公が成人の喜びを期待していたものの、大人の現実に直面し、思わぬ反応に戸惑う様子がリアルに描かれており、成長と自己認識のテーマを深く掘り下げています。


ミナガワハルカ様の『ラ・プリマヴェーラ』

 春は新たな始まりと終わり、ボッティチェリの絵画『春』を象徴しています。テーマを深く掘り下げた多角的な視点は、より豊かな読書体験を提供しています。新しい環境で、主人公が絵画を模写する過程で、自身の恋愛感情と絵画の中の物語が重なり合う独特のストーリー。春の訪れとともに恋が芽生え、悲劇的な結末を迎える展開は強い印象を残しながら、春の刹那性と美しさを強調しています。

 

フィステリアタナカ様の『閉じ込められた幸運』

 主人公が部活動後、倉庫に閉じ込められる出来事を通じて、出会いと可能性、成長の季節として春のテーマを描いています。閉じ込められた経験が、偶然にも彼が好きな女の子との関係を深めるきっかけとなり、春の新たな出会いや可能性を象徴しています。日常に起こる小さな出来事が人間関係を深めるきっかけとなるという、共感しやすいストーリーが魅力です。


まーくん様の『春❣️』

 春の季節に生じる新たな挑戦と困難を、主人公の高校生活を通じで描いています。主人公が高校に進学し、新たな環境での困難に直面する様子は、春のテーマに適しています。また、過去のトラウマと向き合い、乗り越えようとする姿は、春の再生と変化の象徴と言えます。主人公のリアルな感情が共感を引き出し、物語に引き込まれます。


未来屋環様の『散りばめられた星たちは、まるで』

 仕事の失敗とその後に苦しみながら、偶然出会った美容師との交流を通じて自己を見つめ直し、再び立ち上がる勇気を見つける物語。

 主人公の苦悩と成長を描きつつ、春の終わりと桜の散る様子を比喩的に用いています。主人公の心情の変化と季節の移り変わりが見事に絡み合っています。散った花びらの様子を星と表現することで希望と再生を伝え、テーマ「春」の本質をより深く結びつけ、効果的に描き出しています。


川中島ケイ様の『Re:bright ~もう一度、輝くために。~Ep.1』

 競馬を通じて、主人公の挫折と再起を描いています。

 テーマの春は、主人公が新たな挑戦をはじめるきっかけと、新たな季節の到来を象徴しています。競馬という舞台がストーリーに緊張感と興奮をもたらし、主人公が挫折から立ち上がり、再び輝くために努力する姿は勇気と希望を与えてくれます。


鈴ノ木鈴ノ子様の『再び、芽吹く』

 脳疾患により下半身が不自由になった主人公が、幼馴染と再会し、地元の観光協会で働くことになる物語。

 春の訪れとともに、主人公が困難を乗り越えて新たな人生を歩み始める様子が感動的で、春の訪れというテーマを具体的に描き出しています。テーマである春は、主人公の新たな人生のはじまりと、誕生や再生を象徴しています。それぞれ異なる視点から春を捉えており、深い印象を与えます。


 総合的に読みくらべて、コインロッカーというモチーフが作者消失を強調し、春の象徴である桜を通じて失われた愛と喪失感を描いた『【短編】春の葬送』を選びます。



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