恋愛

◆感想を書きたい「恋愛」作品の選考


犀川よう様の『別れの餞。』

秋犬様の『春ノ夜ノ夢ノゴトシ』

煙 亜月様の『永遠のさよなら(旧・明日ありと思う心の仇桜)』

大木げん様の『ガラスの思い出』

花恋亡様の『春霞、瞳に写した薄桃色が映ゆる』

進藤 進様の『気だるい、もの思い』

豆ははこ様の『ただ、きみをみる。』

諏訪野滋様の『純情と桜』

月庭一花様の『パレードが続くなら。』

犀川よう様の『春に沈む』

みうら様の『くるっていく』

ミナガワハルカ様の『ある春の思い出』

ヒニヨル様の『ハルちゃん』

@tumarun様の『藤の花の下で、香りが誘う』



犀川よう様の『別れの餞。』

 春のテーマを物語全体に織り込みながら、香港の春を舞台に、新たな恋愛と同時に主人公自身の愛情と欲望に葛藤しつつ、一途に劉に惹かれていく様子を描いています。感情も芽生え、深まり、最終的には彼女自身の内面に深い変化を与え、読者に深い感情を引き出します。


秋犬様の『春ノ夜ノ夢ノゴトシ』

 春のテーマは、新たな自己の誕生という形で表現されています。主人公が自己を見つめ直し、新たな自分を見つける過程を描いています。


煙 亜月様の『永遠のさよなら(旧・明日ありと思う心の仇桜)』

 愛と別れ、新たな生命の誕生という春のテーマを深く掘り下げています。終わり方が読者に強い印象を残し、感情的な共感を引き出す力があります。


大木げん様の『ガラスの思い出』

 春のテーマを失恋と再生、新たな恋に踏み出す様子が描かえています。主人公が失恋から立ち直る物語は、感情的かつリアルで、共感できます。とくに桜の花びらが舞うシーンが印象的。物語の終わりには再び春が訪れ、新たな恋が芽生える展開は、再生と希望の象徴としての春を感じさせられます。


花恋亡様の『春霞、瞳に写した薄桃色が映ゆる』

 春のテーマを、命の儚さと永遠の記憶の象徴として描いています。主人公が病院のベンチで春の風景を眺めるシーンは、春の生命力と儚さを強調しています。写真を通じて、春の風景を永遠に刻む描写は、人間の生き様における一瞬の美しさを永遠に残す試みとして感動的です。


進藤進様の『気だるい、もの思い』

 春のテーマは新しい恋と新たな始まりを象徴しており、主人公が自分の感情と向き合い、恋に落ちる様子を描いています。物語はユーモラスで、主人公の内面で起こる葛藤が魅力的。主人公の恋愛への道のりを楽しむことができます。


豆ははこ様の『ただ、きみをみる。』

 春のテーマが物語全体に絶妙に織り込まれています。新たな始まりと終わりの象徴である桜とともに、主人公と若菜君との出会いと交流を描いています。猫と桜のエピソードは、二人の関係性を深める重要な要素となっています。詩的な言葉遣いと緻密な描写を通じて、読者に強い感情的な共鳴を引き出します。


諏訪野滋様の『純情と桜』

 主人公が新生活の始まりである春に、過去の恋愛を思い出し、自己確認をする様子が描かれています。桜の花びらが舞う中での自己確認は、春の訪れと新たな始まりを象徴しています。葛藤と成長がよく描かれています。


月庭一花様の『パレードが続くなら。』

 幻想的な書き出しと春を背景に、デートをしながら過去に起きた教え子との出会いを思い出し、自己確認をする様子が描かれています。桜の花びらが舞う中での自己確認は、主人公の内面的な変化と成長を描いており、春の新たな始まりと再生を象徴しています。


犀川よう様の『春に沈む』

 春の訪れとともに目覚める主人公の混乱した感情を描いています。

 新たな始まりに、変化への恐怖と期待が交錯する様子がよく描かれており、強い印象を与えます。主人公にとって痛みを伴うものであり、最終的には悲劇へと繋がってしまいます。


みうら様の『くるっていく』

 主人公が友人の恋愛を支える中で、自身の感情に気づくストーリーが展開されます。主人公が友人の恋愛を見つめる視点が新鮮で、共感を呼びます。春の訪れとともに芽生える新たな感情と、それによって引き起こされる混乱。最終的には、友人の悲劇へと繋がってしまいます。


ミナガワハルカ様の『ある春の思い出』

 主人公である猫が、春の訪れと共に感じる愛情と渇望を描いています。物語全体を通して。主人公の感情が一貫して描かれている点も印象的。春の日差しや風景と共に感情が一体化する様子を美しく描いており、強い共感を呼び起こします。


ヒニヨル様の『ハルちゃん』

 春の雨と幼なじみというテーマを中心に描かれています。主人公が春の雨に打たれながら家に帰る途中で始まり、幼なじみのガキタとの出会い、告白、彼女の感情の変化が描かれています。春の雨が物語全体の雰囲気を作り出し、二人の感情の変化を引き立てています。


@tumarunの『藤の花の下で、香りが誘う』

 藤の甘い香りを利用して、主人公と一孝さんとの間の感情の変化を描いています。下校中、微かな香りに導かれて公園に辿り着き、幼なじみの一孝さんと再会、互いの感情を確認し合う場面が描かれています。藤の花の香りが、物語全体の雰囲気を作り出し、二人の感情の変化を引き立てています。


 総合的に読みくらべて、春のテーマを巧みに物語に織り込み、人間の感情の微妙な変化を詩的に描いた『ただ、きみをみる。』を選びます。



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