第7話

キスキ、隠密行動でターゲットを拳銃で暗殺する。分かったな」

俺はコソコソと耳元でささやいた。

「分かったわ、任せておきなさい」

俺は返事を確認し、武器を閉まっておいたアタッシュケースの中身を確認する。

「あった」

俺が武器を取り出そうとした瞬間、車内に爆音と、風が舞った。

車内は悲鳴が止まらない。

俺は風を腕で防ぐ。

「何事だ?」

そう、このような場面では狼狽などはせず、冷静に対応することが大切だ。

「分かりません!急にメイド服を着た人が、宙に舞い上がってからハイヒールで私達のターゲットを蹴り飛ばしました」

いやいや、ちょっとまて、どういう世界線だ?

メイド服を着た人が俺たちのターゲットをハイヒールで蹴り飛ばすと。

相手はスパイだ。相当の実力がなければ一撃で蹴り飛ばすことはほぼ“不可能”である。

ターゲットが先程まで座っていた座席を見返すと、座席には誰も座っていないことだけを確認できた。

「市一、ターゲットの隣の壁が破壊されているわ」

キスキの言う通り、隣の壁が一部破壊され、少しの残骸だけが残っている。

「私達の任務を奪いやがって……許さないわ」

こうなってしまえば後の祭りだ。

メイド服を着ている人物を探し出して、話を聞こう。

こっち側の人間の可能性も十分にある。

「キスキ、今からお前の言うメイド服を着た人を探して、話を聞こう。何かがわかるかもしれない」

殺し屋は、暗殺をすることだけではなく、情報収集も仕事の一環である。

「そうよ!!そうしましょう」

嫌がるかと思ったが、どうやらすんなりと受け入れてくれたようだ。

座席から立ち上がり、レッドカーペットの上を進む。

辺りを見回したが、この車両にメイド服を着た人など見当たらない。

「いませんね。私があの女性を見つけ出してやります」

特徴…ハイヒール、メイド服、蹴りの力が強い。

いやいや、特徴に当てはまる人物など、どこにもいないのだが。

三等座席にでも逃げたのだろうか?

車内のざわめきは止まらない。

俺は車両の連結部分へと足を運ぶ。

「このドア、通れないように鍵がかけてありますね。拳銃で撃ち抜きますか?」

隠密行動と言っただろ。

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鮮血は街灯と共に~the other side of this country~ モリイ @moriikunosusi

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