第5話 輪姦

当初この監禁は「ヤクザ組織から守るために匿ってやってる」という面目であったため、順子は初日からよってたかって滅茶苦茶いじめられていたわけではない。

最初の頃は渡邊とファミコンをしたり、彼女を見張る小倉や湊らと話をしたりして傍から見たら仲がよさそうにしていた。

兄と弟がいるので男に囲まれるのに拒絶反応はない。

だが、よく見ればその様子は彼らを明らかに警戒しており、笑顔もぎこちなかった。

兄弟と違って、何をしてくるか分からないクズたちに囲まれているんだから当たり前だ。

それに宮野にあんなことされてから、以前に接する者すべてに見せていた眩しい笑顔はもうできない。


当然、内心こんな悪そうな奴らのとこにいたくはなかったが、奴らのボス格の宮野の「お前はヤクザに狙われている」云々の脅しが効いており、怖くて逃げられなかったのである。


そして監禁三日目の11月28日深夜、早くも最悪な仕打ちが待っていた。

宮野の一味の者たちに輪姦されたのである。


その日、湊の部屋には宮野と小倉、湊、渡邊以外に湊の同級生である中村高次(16歳)と伊原真一(16歳)も来ていた。

「おもしれーもん見してやる」と宮野に言われたからだ。


中村と伊原は以前に宮野たちが衣料品店の倉庫から盗んだ戦利品の分け前をもらえるのかと思って来てみたら、それ以上のものだった。

部屋の真ん中で寝ているのはその盗品の衣料品を着せられた高校生くらいの女、それも結構な上玉である。


順子は昼間ずっと代わる代わる見張られて気を張り詰めっぱなしだったので、深夜にこと切れて熟睡してしまっており、猛獣たちに取り囲まれているにも関わらず夢の中だった。


それもやけに嫌な展開の夢である。

顔全体を塞がれたみたいに息苦しく、ヒトが寝てるのにやいのやいのやかましい何人かが自分の服を脱がし、下着に手をかけ…夢じゃない!


「…!…!~~!!!」


枕を顔を押し付けられ声が出せない。

しかも、しかも、自分は生まれたままの姿にされて押さえつけられているではないか!


「おお~たまんね!犯ろうぜ!」「おい渡邊!犯れ!男だろ!」「オレも!オレも!」「おい、湊!テメー何やってんだ?立たせろよ!」「いや、ちょっと待ってください」「小倉!オメーもやれよ!あ?何でやんねえんだ?」


寝起きの頭でも自分がこれから何をされるか分かりすぎたが、発した絶叫は自分の顔を押さえる枕で遮られて口内で暴れ回る。


宮野は配下の後輩たちに自分の味わった極悪な幸福をおすそ分けしてやろうとしていたのだ。

風邪薬を覚せい剤に見せかけて、ラりったマネをさせる小細工を打たせ、彼らに輪姦させてやろうというのである。


湊の一物は緊張しすぎて最後まで役立たずだったが、身動きが取れない順子はいつもムッツリの渡邊、新参者の中村と伊原に蹂躙されてしまった。

順子の受けたショックが甚大だったのは言うまでもなく、それからしばらく放心したように宙を見つめていたという。


しかしこれで終わらない。

宮野は彼女の陰毛を剃り、陰部にマッチ棒を何本か突っ込んで火をつけたのだ。


「ああああ~熱い熱いあついいいいい~!」

「だはははははは!アソコが火事だ!」


陰険な虐待が始まった。

宮野は順子を大いに気に入っていたが彼女にする気はなく、他の強姦被害者同様にその目的は純粋に体だけ。

彼女とは違うから尊重する必要はなく、何をやってもいいと思っていた。


一方、順子を大のお気に入りにしていた小倉がその場にいながら輪姦に参加していなかったのはなぜだろう?

実は前日の27日に順子と肉体関係を持って、勝手に情が入っていたからだ。

もっともそれは自分もヤクザ関係者だと脅したり、「この家にいる奴らからも守ってやる」などと言って強引に同意させたのであり、順子が好意を持ったからではない。


28日深夜にさんざん弄ばれて余計に汚された後、順子は自分が襲われている時に何もしなかった小倉に対し「守ってくれるって言ったじゃない」と涙目で抗議している。

しかしその抗議に対してこの小倉というバカは「オレを頼っている。オレに気がある」と解釈していたというから、思い上がりが甚だしいどころかコミニュケーション能力に危険なレベルで問題がある野郎だ。

だいたいこの監禁は順子を一目見てぞっこんになった小倉が宮野に「さらっちゃいましょうよ」と言ったことから始まったのである。


そして、この犯罪はそんなに広くもない一戸建ての二階子供部屋で行われていた。

その部屋の隣は湊の兄の部屋で、こいつは犯行にあまり積極的に参加しなかったが宮野たちのシンパみたいなものだ。

だが、一階には両親が同居しているのである。


なぜ順子が囚われていることに気づかなかった?


いや、知っていた。

それも何度か顔を合わせていたのだ。

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