第5話

 このおっさんマジですごいな。寺のダンジョンに入ってもう5階層目だが、狭い通路が多いダンジョンで薙刀を上手く使いこなして魔物を倒している。よくよく話を聞いてみると最初の襲撃があった3日間寝る間も惜しんでダンジョンから出る魔物を相手に一人で戦い抜いたらしい。精神力が桁違いとしか言いようがないな。


 そろそろ階層ボスが近い、おっさんの顔も鬼の形相になっている。この感じだと何度か挑んで敗走しているのだろう。


 「この先だ。私ではダメージを与えることができないようで何度も逃げ帰っている。」


 「その薙刀少し貸してもらうことはできますか?戦い方を学ぶというのであればその武器にあった戦い方をしてみたいと思います。」


 「もちろんいいが使えるのか?」


 「任せてください。こう見えて武器は全般使えます。」


 この先の魔力反応は俺も最初は苦労した植物系のモンスターだな。とにかく手数が多く急所が一点のみこれが面倒臭いのなんの。


 「しっかり見ていてくださいね。」


 対峙した俺は早速薙刀に魔力を纏わせて正面から突っ込んでいった。伸びてくる蔓を上手く躱し、切り刻み魔物の核の場所を探り、その一点を両断した。


 「こんなものでどうでしょうか。」


 「正直なところ私では真似できそうな気がしないな。」


 それはそうだ。知識も経験も足りないのだから核なんてものがわかるはずがない。


 「これに関しては経験が物をいいます。何度も対峙し、相手の弱点を見極める力が必要になってきます。これより下の階層はもっとこういった弱点一撃という魔物がたくさん出てくるので焦らず安全第一にこの魔物で経験を積むのがいいかもしれません。住職さんにとってこの魔物はいい練習相手になると思います。」


 「そうかもしれないな。少し焦っていたのかもしれない。それにしても君は何者なんだ。」


 「僕は少し前までこいつらと一緒の世界にいた腕の立つ高校生でしかありません。では帰りましょうか。」


 帰り道で祖父母が近くに住んでいるだとかそういった世間話をしながら帰ったらかなりフレンドリーになってくれた。色々と話をしていたら名前もわかった。住職の名前は岸本幸三郎45歳薙刀道場なんてものを経営しているらしい。

今の時代に薙刀ってと思っていたらそういう事情だったんだな。


 「最後にあの植物系の魔物は魔力を纏わせて切ると少しではありますが動きが鈍るのでおすすめです。」


「ありがとう。頑張ってみるよ。」


 そういって別れをつげた。


 

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地獄から舞い戻った最強は現実世界を救う。 スーパーレモンX @remonadeX

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