第4話

 翌日朝早くに出発した俺はじいちゃんとばあちゃんの家に来た。1時間半か、車だと4時間かかるのだから上出来だな。


「じいちゃーん、ばあちゃーん龍だよ!起きてる?」


「龍聖か帰ってきたんじゃな。心配かけおって、両親にはおうてきたのか?」


「あぁ会ってきたよ。今日はじいちゃん達を守りに来たんだよ。」


「龍ちゃんやこの前のあやかしならもうおらんようなったぞ?」


「ばあちゃんおはよう。違うんだもう一回あれと同じことが起こる可能性があるんだよ!」


「それでお前がどう守ってくれるってんだ?」


「じいちゃん達に魔物を倒せる俺のペットを渡しておこうと思うんだけどリクエストはある?」


「なんでもええんか?ならこれじゃな。」


 じいちゃん無理を言うな…その絵は不死鳥フェニックスじゃねぇか。似たようなやつならいるからそれにしておくか。


「それはいないけど似てるやつを預けておくよ。『召喚』スザク我が前へ顕現せよ。」


 見た目は火をまとったただの鳥だがこいつが本気をだせば周囲200メートルは灰燼に帰すだろうな。


「なにかあったらこいつに言ってくれ、俺はダンジョンに行ってくる。」


「もうどっか行くのかい?お茶かお菓子持っていくか?」


「気持ちだけ頂いていくよ。ちょっと急いでるんだ多分すぐ帰ってくるけど。」


「そうかい気をつけてな。」


 人生を長く生きているだけあって落ち着いているなぁ。これからもゆっくり長生きしてもらいたいもんだ。


 元々寺だったここら辺のはずなんだが。なんせダンジョンだから入り口がわかりづらいなんてのはよくあるがダンジョン特有の魔力も感じないのは初めてだな。

 

 「君は誰かね。」


 声のする方を見てみると割と若い感じの住職がいた。


 「僕はこの辺りに現れたダンジョンを確認しに来たのですが、少し迷ってしまって…」


 「こっちだ。」


 静かな人だな…というか強者の纏う雰囲気みたいなものが溢れている。おそらく向こうも俺の強さにある程度は気づいたから案内してくれようとしているんだろうな。


 そうして歩いて行くと滝の奥にある洞窟がダンジョンになっているようで周りには札がたくさん貼られていた。驚くことにこの札、魔力が込められている。しっかりダンジョンを封じ込めることに成功しているのだ。何物だこの人。


 「つかぬことをお聞きしますがこの札はあなたが用意したんですか?」


 「その通りだ。ここから溢れる異形達は私が食い止めている。毎日中に入って間引きを行うこともかかしていない。」


 魔物が現れて一ヶ月でよくこんなに対応できたもんだ。


 「僕は魔物の反乱を防ぐために来たんですけど間引くまでもないようですね。」


 「いやそんなことはない。実は倒せない異形がいる。君は俺よりも強いだろう。頼んでもかまわないか。」


 「それはもちろん構わないですが、正直そこまでの強さで勝てないということは結構深い階層ですよね。これ以上魔物を間引く必要は無い気がするのですが。」


 「そうかもしれない。しかしこの寺から異形を出すわけにはいかんのだ。強くなって損はない。私もついて行くので君の戦い方をみせて欲しい。」


 正直足手纏いだが、ここら辺にはじいちゃん達が住んでいる。手を貸しておいて損はないだろう。なんせ一ヶ月でここまでの能力を得た人だ、特別な才能があるに違いない。


 「わかりました、ではあまり時間もないので早速行きましょう。」 

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