常に誰かを倒したい
釣ール
体のいい喧嘩
稼げもしない。
SNSを使うためリスク承知でインターネットに適当な言葉を並べても誰も見やしない。
だからさっさと現実とデジタルから抜けた。
夢は言語化するものだと学んだからこそ。
今は森で暮らしている
早く彼女をここに呼びたいが都会暮らしも田舎暮らしも飛び出して両方が
運動神経を買われてプロ格闘家をやっていたことがあったが負け続けて全国移住を目指し、練習よりキツイ生活を快適にしてしまった谷津刃は死にたいといってやってくる人間にキャンプ場を提供し、「わざわざ山に来てもらって悪いが、この辺りの住人は倫理を重視していてすぐに止められる。
あと成功率の低さから貧乏人には向いてないんだ。
それと金を渡すから俺とキャンプしてくれ。
安心しろ。
変な気を起こしていない。
ちょっと手伝ってもらうだけだ。」
助けたつもりはないが人手が足りないからと地域住民にボランティア活動を頼まれ、コミュニケーション練習と共に住民の別の依頼で山にくる自殺者を止めたり、密猟やマナーの悪い相手がいたら
「今の時代山篭りもストレスたまるんだ。
示談にしとくから練習相手として俺に殴られろ!」
武力も使う。
念の為に言っておくが住人によって許可されてると言えば聞こえはいい。
ここでも腕っぷしを評価されて半非合法的だがこの山を守らされ、いつも同じ非合法野郎共を倒している。
「くそっ!
逃げ道がないのはともかく場所を間違えたな。」
廃墟にする予定だったらしいペンションを苦手な話術で住居にしたのもつかのま。
二十歳にしては資格だけじゃ手に入らない経験がまだ多すぎた。
いや、手に入りすぎたのか。
だからこそ彼女をここに誘ってみたかったが悔しくてサンドバッグと鍛えられた自分の身体を殴った。
都会の田舎だと馬鹿にした詰めの甘さがこうして自分を生きづらくしていると思うと腹が立つ。
結構考えてここで暮らしてるのに。
いっそ無人島なら、
ボォォォ。
ボォォォ。
おや?
もうそんな時間か。
全国どこにでもいるウシガエルの鳴き声。
サバイバルに重宝するから狩猟免許取得の際に出会った連れからさばき方を教わって今じゃ寄生虫にさえ気をつければいい非常食だ。
カエルにだって生きている理由がある!
って言ってくれる創作や教科書なんざこのとおり、どこにもありゃしねえ!
きつかったなあ。
専門学校まで卒業するのに高校生活を楽しむの。
それなりに娯楽はあってもどれも有料で話が合わない友達と上手くフェードアウトしながらサバイバル技術を習得したのは。
ウシガエルの鳴き声はそんな嫌な思い出ばかり思い出させる今となっては当然の光景。
ボォォォ。
ボォォォォォギャオオオオオオオン!
誰かに捕まえられた。
夜行性であるのを理由にボランティアとして外来種と悪口を言われるウシガエルを使って金を稼ぐ人間に。
こちとら無銭だ!
余計な味付けで金稼ぐんじゃねえ!
だが手を出せない。
海外遠征の時に思っていたのだが
「俺も悪い意味で日本に、いや世界に染まっちまったな。」
と愚痴をこぼしてボランティアのウシガエル狩りを無視すると
「あ、ああああああああ!」
谷津刃は身の危険を感じて声のした方が向かう。
すると倒れている人間と二メートル半のウシガエルニンゲン?そう
パァァン!
真っ先に猟銃を空打ちし自分の怖さを音で知らせる。
さっきの悲鳴から推測するにこのウシガエルニンゲンは仲間のウシガエルをしめられて人間に攻撃した。
こんな昔の特撮のように目の前にいるのではなく、音を隠して人間に近づいたのだろう。
足跡が少ないのもきっと元々狙っていたに違いない。
だが念入りにこの山の付近をパトロール刺せられていた時には見つからなかった。
隠れるのが上手すぎるのか、それともこの人間達の目の前で急進化し・・・考えすぎか。
それよりも目の前のこいつを何とかしないと谷津刃も食われると念の為に用意した装備で攻撃をする。
目障りな捕食者であろう人間の脈を測るともう事切れていた。
少しだけ感謝をウシガエルニンゲンにしていたが、そんな感情は奴らと同じ人間の上から目線。
ウシガエルニンゲンにとっては谷津刃も敵!
何か武器があるかもしれないと身体を動かさずウシガエルニンゲンから目線を外さない。
こちらが動いたらウシガエルニンゲンは飛びつく。
その時に進化して出来た武器もあるかもしれない。
両生類なのが災いして陸でほぼ生きていられるのは厄介だ。
動くなら、今だ!
ウシガエルニンゲンの飛びつくスピードに反応して猟銃をどでっぱらに打ち込む!
そして口と腕を避けたあとに背中へ打撃をぶち込んだ!
戦闘はあっという間に終わった。
目撃者は自分だけ。
なるべくことを荒立てないようにウシガエルニンゲンを持ち帰った後に時間差で山の
海に人は
人間が複数いない世界ならどこだっていいんだとこの山で暮らして気付いた。
ウシガエルニンゲンには悪いが俺も聖人君子ではないと肉を削ぎおとし家に飾ってある不自然な骨格を「DIYです。」とごまかす毎日も悪くない。
この出来事があってから彼女を呼ぶことに決めた。
ここで彼女が暮らしてくれるのなら・・・いやその心配は要らねえ!
谷津刃はまだ謎が多いこの山の闇と共存することに決めた。
簡単に死んでたまるかと心なしか試合の時みたいに胸が熱くなり、落ち着かなかった。
人間達の暮らし方も幸せもこうやって経験するしかないのか。
なるべくウシガエルニンゲンを倒した時のようなトラブルが来ないことを祈りつつももしあれば狩人になろうと、猟銃と免許を大切に触りながら彼女へ連絡した。
常に誰かを倒したい 釣ール @pixixy1O
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます