株式会社スグカナエール

柿月籠野(カキヅキコモノ)

どんな願いも、スグカナエール!

 ここは、『ネガッテネせい』のはしっこにある、『株式会社スグカナエール』。

 そして今日は、『株式会社スグカナエール』の設立初日。

 スグカナエール社員たちは張り切って、五十億光年お隣の『チキュー星』から来た注文をさばいていきます。

 オペレーターのオペレッタは、さっそく受けた注文を、発注係のハチューンに伝えます。

「ラーメン一丁! お金一兆! あの子といっちょ! お願いします!」

 ハチューンは注文を繰り返して、間違いの無いよう、しっかりと確認します。

「ラーメン一丁! お金一兆! あの子といっちょ! 了解しました!」

 注文を確認したら、ハチューンは『株式会社スグカナエール』が持つ工場、『ナンデモツクール製造所』に向かい、受注係のジュチューンにそれを伝えます。

「ラーメン一丁! お金一兆! あの子といっちょ! お願いします!」

 ジュチューンも注文を繰り返して、しっかりと確認します。

「ラーメン一丁! お金一兆! あの子といっちょ! 了解しました!」

 注文を確認したら、ジュチューンは『ナンデモツクール製造所』の所長のショチョーンにそれを伝え、工場を動かしてもらいます。

『ナンデモツクール製造所』のモットーは、『早く、速く、丁寧に』です。

『ナンデモツクール製造所』は、受注からなんと二十億年で、高品質なラーメンを一丁、高品質なお金を一兆、高品質なあの子をいっちょ、完成させました。

 発送係のハソーンは、完成した製品が注文と違っていないかや、製品に破損が無いかをしっかりと確認します。

「ラーメン一丁! お金一兆! あの子といっちょ! オーケーです!」

 素敵な製品の準備ができたら、次はとうとう、製品をお客様に届ける段です。

 発送係のハソーンは、『株式会社スグカナエール』が持つ運送会社の『株式会社スグトドケール』の宇宙トラック運転手、ウンテーンシュに、大切な製品を受け渡します。

「ラーメン一丁! お金一兆! あの子といっちょ! よろしくお願いします!」

「ラーメン一丁! お金一兆! あの子といっちょ! お任せください!」

 ウンテーンシュは大切な製品を受け取ると、それを宇宙トラックに丁寧に積み込ます。

『株式会社スグトドケール』のモットーは、『光の速さで届けます!』です。

 ウンテーンシュは光の速さで、そしてもちろん安全運転で、五十億光年お隣の『チキュー星』へと向かいました。

 しかし五十億年後、運転手のウンテーンシュから、オペレーターのオペレッタに、電話がありました。

「もしもし、ウンテーンシュさん? どうしましたか?」

「オペレッタさん、大変です! 『チキュー星』が無くなっています!」

『株式会社スグカナエール』は、ウンテーンシュが帰ってきたあと、『ナンデモツクール製造所』と『株式会社スグトドケール』の社員も含めた全員で、お客様の住所が無くなってしまった場合の対応について、三十億年ほど会議をしたのでした。

 そのうちに、『株式会社スグカナエール』がある『ネガッテネ星』にも寿命が来てしまったので、『株式会社スグカナエール』と『ナンデモツクール製造所』と『株式会社スグトドケール』は、『ネガッテネ星』の二百億光年お隣にある『イノッテネ星』に拠点を移して、気持ち新たに、ビジネスを展開していくのでした。

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株式会社スグカナエール 柿月籠野(カキヅキコモノ) @komo_yukihara

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