裏交差1項 わたしの勇者さま①

 

※本項目は、表の18項〜28項に続く内容です。そちらもあわせてお読みいただけますと幸いです。


  第18項 

https://kakuyomu.jp/works/16818093075519809159/episodes/16818093075720209784

  第28項 https://kakuyomu.jp/works/16818093075519809159/episodes/16818093076021333524




★★★ここから本編★★★

 

 

 あれから、いろんなことがあった。


 メルドルフ司教国のモデル募集に応募したり。

 ルーク様がお母様のノートを持ってきてくれたり。


 そして、わたしの勇者様は、いまわたしの胸に顔を埋めて、天使のような表情で寝っている。


 ほんとうに可愛い。

 わたしの愛しい愛しいルークくん。


 ふふっ。

 エッチなこともしちゃったし、心の中でくらい「ルーク君」って呼んでもいいよね。


 すると、胸の谷間のあたりに冷たいものを感じた。


 ルーク様、ヨダレたらしてる……。

 しかもベタベタしてて糸ひいてるよ。


 ひーっ。

 きたなっ。



 ……。


 こう思ってしまうのは、まだまだ愛が足りないのだろうか。


 あぁ。眠い。

 小鳥の囀りも心地いいし、今日はもう少しくらい寝坊してもいいよね。



 ……。


 ここは?

 久しぶりの懐かしい風景。


 えっ。

 ここって、レイア様の神殿だ。


 わたし、死んじゃったのかな。

 おかしいな。ルーク様も目の前にいたのに。


 突然死? 


 そっか。

 でも、ルーク様と結ばれることができたし。そうだったとしても、仕方ないか。


 レイア様は、こちらに近づいてくると、わたしをギュッと抱きしめた。


 「愛しい我が子、メイ。なぜ、天はあなたにこんな過酷な試練を課すのでしょう」


 いやいや。

 天って、女神様もその一員ですよね?


 やっぱり、悪魔も女神も紙一重な気がします。


 「これから、勇者は最大の試練をうけ、死と立ち向かうことになります。そこでは、あなたの聖女としての力が必要になる……」


 「こうして、女神様とホットラインがあるのに、承継の儀式とか必要なのですか?」


 「だから、メイよ。司教国にいって聖女の資格を得るのです。その力が、必ずや必要になることでしょう」


 ち、ちょっと。

 この女神様ったら、人の話を全然聞いてないし。


 そして、わたしは目が覚めた。


 前から思ってたんだけど、レイア様って、ちょっと自己中だよね。ウルズ様にチェンジしてもらえないかな……。


 でも。レイア様、聖女の力が必要って言ってたよね。


 わたしは聖女ではないけれど、レイア様の神聖魔法は殆ど使うことができる。


 それでも足りないってことは……。


 お母様のノートに書いてあったのだ。

 どんなに神聖力が強くても、聖女にしか使えない魔法が一つだけあるって。

 

 でも、あの魔法。

 死んだ人を生き返らせる魔法だよ。


 女神さまも「勇者は死と立ち向かう」って言ってたし。ルーク様、これから死んじゃうってことなのかな。


 でも、ルーク様はもうループを使い切っている。

 

 女神様に教えてもらったんだ。

 悪魔と契約してループをすると、4度目の死では魂が悪魔に喰われて消滅してしまうって。


 そうしたら、わたしは。

 未来永劫、生まれ変わっても、ルーク様と出会えないってことだよ。


 いやだ。

 そんなの絶対に嫌だ。

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