第6話 戦いはなるべく避けたかった
第六話 戦いはなるべく避けたかった
俺たちは深夜に張り込んでいる。
犯行現場には釣り出すための、
かれこれ2時間待っている。
不意にガタッと、音がした。
トン、トンと、足音が聞こえる。
馬鹿だろう。気配も消さずにやってくるとは。
犯人が誰だかはわからない。だからこそ取り抑える必要があった。
遂に姿を現す。そこに現れたのは――魔族だった。
魔族は人間に近い姿をしている。
「お前が殺したのか?」
不躾だと分かりつつも、率直に訊く。
「殺した?ああ、あのゴミ家族か。そうだ。俺が殺した。」
「恨みでもあったのか?」
正直、犯人ではないと思っていたので驚いている。
「魔王様の指示だ。」
どういうことだ?魔王が指示?
どうやら普通の家族ではないようだな。
「魔王がその家族を殺せと指示したのか?」
「そうだ。私は八崖神光銃のヤーベラ。お前たちも、殺す」
こいつも八崖神だったのか!?
「イサネ!こいつの強さは?」
「八崖神の中で3番目に強かったはず!」
まずいな。
一番弱いラビスでも苦戦したのだ。
「くらえ!ファイアーデトックス!」
「サイクロンフィジック!」
さっき買ったサイクロンエレメントを入れる。
炎と風がまざる。
「これじゃあ船が持たないな――」
そう思った俺は外に連れ出す。
「はっ!」
俺は拳を入れようとする。
しかし、軽く銃で弾かれた。
銃に拳では対抗できない。
「くそっ!」
思わず舌が鳴る。
相手は距離をとって連射する。
剣に切り替え、跳ね返すことを試みる。
しかし、剣が重く対応しきれなかった。
「これじゃあ物量で圧しきられるな……」
どうしたものかと思ったとき。
「サンダーリボーン!」
イサネだ。
イサネの魔力はそこまで高くないらしく、いつも使うのを控えている。
相当ピンチだな。
イサネの雷は俺が放った風と混ざり、帯電竜巻となる。
「いくよ!イサネ!」
二人で揃えて。
「ライトニングストーム!」
敵に直撃。
相手は倒れる。
「よっしゃ!」
何とか倒すことができた。
「さて、これからあいつを捕まえて――」
これからの予定を話していたときだった。
「ボルケーノエンバー!」
急にマグマが俺たちを直撃する。
「うぇぇ!?」
素っとん狂な声をあげ、地面に転がる。
全身が火傷でただれ、動けない。
「死ね。ファイナルエクスプレス!」
億万もの隕石が俺たちに降ってくる。
その時。
唐突に隕石が消えた。
「全く。君たちは弱いね。ま、どーでもいっか。」
そこに姿を現したのは、ルームウェア姿のザンリョウだった。
「隕石プログラムを破壊した。もうダイジョブだよ。」
「ザンリョウ……」
チートかよ。
隣をみると闇が出現する。
「レスカ!」
そこにはレスカがいた。
「全く。油断をするな。戦いに集中しろ。八崖神がそんな簡単に死ぬわけ無いだろう。」
「たしかに……」
「まあ良い。」
そう言うとヤーベラに向き合う。
「八崖神ヤーベラ、お前をここで始末する。」
いつも通りの抑揚の無い平坦な声。
地の底から響いてくるような迫力があった。
レスカは鞘に手を添えると、刀を抜いた。
漆黒の刀身が姿を現す。
いや、刀抜くんかい。
「来たれ、
ヤーベラが言うと、大量の魔族が現れる。
レスカは後ろを向いていた。
何をしているのだろうか。
早く攻撃しないのか?
そう思った次の瞬間、レスカが指を鳴らすと、レスカの動いた残像のようなものが移り、敵を瞬く間に薙ぎ倒す。
驚いて固まっているとレスカが言ってきた。
「驚いたか?これが私の能力、
空間を操るて……
チートかよ。
しかし、まだ敵は無限にわいて出てくる。
すると今度は、レスカの手から光の線が伸び、敵に絡み付いた。
「コズミック・レイル」
そう言うと、敵は光の線によって切断された。
今度は
いや、どゆこと?
マジで意味分からん。
「言っただろ。空間を操っているんだ。だから、そこに見えない空間を産み出した。」
さも当然と言うようにレスカは言う。
何なんだよ……
軍勢を一瞬にして蹴散らしたレスカは、ヤーベラと一騎討ちになる。
「くらえ!ファイアーデトックス!」
レスカは軽く避けると、距離を詰める。
剣が素早く食い込んだ。
斬撃を食らったヤーベラは片ひざをつく。
隙なくレスカは。
「終わりだ」
そう言うと、刀を鞘に納めた。
……かと思うと、長い前髪で隠れていた右目が現れる。
漆黒の左目とは対照的に、深紅の右目だった。
レスカの髪が赤色に染まる。
手は白い炎に包まれる。
「明けない夜はない。いくぞ。闇夜照らす一筋の終焉・紅焔の深明。」
厨二病か何かか?
レスカが刀を振る。
敵を空間ごと一瞬で切り裂く。
闇がかき消されるように、魔族の体がかき消される。
そこには、
異世界に行った俺が、TUEEEするまでの物語 Hoshi29 @Hoshinick
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