「落ちてるしっぽ」

さくさくとアイスクリンをかじりつつ さっき貰った星を眺める


単眼が赤く光って夜空よるぞらに沈んだ塔を知らしめている


爪の先ほどの水晶 百円とおんなじ場所に忍ばせている


「いたのかよ ドアの影かと思ったよ お前そいつの背後霊かよ」


誰にはばかることもなく凛々と赤い葉っぱは風に吹かれる


二回目の火災警報サイレンに「ああ」と呟く 警備員くる


束の間の花火は消えてただ黒い夜空を仰ぐ友人の母


ピンク色のキャラ従えてピンク色の車輪をまわしひなちゃんがゆく


新型の竹馬みたくメタリックレッドの松葉杖をあやつる


目が合えば満面の笑み浮かべてる 石塔崩す河原の鬼が


まひるまに軌道が光る ショッピングモールの天にバルーンはない


残された手掛かりはそう てんてんと椿のように落ちてるしっぽ


クッキーの缶に眠れるアライグマ、花貝、きつね、小さなメダル


まだ眠い顔をさらしてふくふくとうろの中にて寄り添うふたり


透明な花が咲いてるいつだって少し濡れてる雨上がりの街


綿飴がいたるところに飛び火して世界を白く霞めているよ


小説の表紙を飾る光芒にゆるされているような気がして


透明を掴む何度も手を握るシールだらけの柱の前で


空も木も灰の色して眠ってる ただクレヨンの星が白くて


ぷるぷるの宝石掬うてのひらにかぶれ防止の軟膏を塗る

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

私の短歌 蓮籠かなで @hasukago_kanade

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ