後日談⑤ 気になるあの子の話 (終)

一応アイちゃんに確認したところ、問題ないとのことだった。


私はシルちゃんの部屋の前に立つと扉をノックし、部屋に入る。


「こ、こんにちは〜?」

「はい、こんにちは。わたしはシルアエルと申しますが、あなたは……。かなり高位の種族の方だと思いますが……、名前を聞いてもよろしいでしょうか?」


やっぱり覚えていないよね。

まあ、私の願いの代償だし…。


「私はスイリエルと言いますしがない元天使です」

「元天使……つまり、神様ですか」

「まあ、そうとも言います」


すると、今まで私を警戒?していたリフィエルちゃんが私に向かって口を開く。


「あ、貴女様は神様なのですか!?では、あの”イレギュラー”を倒したのは貴女様なのですか?」

「うん。そうだね」


そう返事をすると、リフィエルちゃんは今までの事に納得がいったように頷いた。


「そんな事よりも、私はシルちゃんに用があって来たんだけど…」

「わたし……ですか?」


なぜ自分なのか分からないかのようにシルちゃんが私を見る。


「そう。シルちゃん、私のこと覚えてる?スイちゃんって呼ばれてて、”親友”だったんだけど」


シルちゃんは少し思い出すような仕草をした後、答えた。


「…………。すみません。覚えていないです」

「そ、そっかぁ」


私は残念に思いつつも、アイちゃんに今の『願い』をお願いした。


❖ ❖ ❖ ❖ ❖

※シルちゃん視点


「シルちゃん、私のこと覚えてる?スイちゃんって呼ばれてて、”親友”だったんだけど」


そのスイリエル様の言葉に一瞬だけ…。

ほんの僅かだけ何かを思い出したような気がしたが、すぐに忘れてしまった。


その愛称は今は亡き両親しかわたしに言ったことが無かったはずなのに…。


なぜか……。

なぜか思い出せない。


何かがあった気がするのに。


そして、スイちゃん……。


何かがあるのだが、一切思い出せない。


まるで、その記憶が既に無いのかのように。

思い出そうにも、霧のように消えてしまう。


誰だったんだろう。



そう思ってた時、ある時の記憶が一部抜け落ちていることに気がついた。


そして、その事をスイリエル様に伝えた。


「あの、わたしの記憶が一部だけ抜け落ちている部分があるのですが、その記憶の中にスイリエル様がいるのでは無いでしょうか」


❖ ❖ ❖ ❖ ❖

※スイちゃん視点


「あの、わたしの記憶が一部だけ抜け落ちている部分があるのですが、その記憶の中にスイリエル様がいるのでは無いでしょうか」


記憶が抜け落ちている……。


事実は改変されているはずなのに、記憶の抜け落ち…?


まあそれはいいとする。

アイちゃんがなんとかしてくれる。


それよりも”スイリエル様”ってのが嫌だと思った。

”親友”から様付けされるのが嫌だし、まるで他人みたいだからだ。


速くアイちゃんがきて欲しい。


と、思った瞬間、アイちゃんがやって来た。


あれ、これって…。

リフィエルちゃん大丈夫なのかな。



……。

駄目でした。


アイちゃんを見た瞬間、倒れてしまった。


俗に言う美しすぎて気を失うというものなのだろう。


「あ、リフィ…」


シルちゃんがリフィエルちゃんを支えると、アイちゃんを見ながら言った。


「あの、リフィエルが倒れてしまったので、別室に運ぶため少しの間、失礼します」


そう言って、シルちゃんはこの部屋を出ていった。


「ねえ、アイちゃん、”制約”ってもう無いの?」

「んー?無いよ。だって私が消したもん」


えぇ……。

飛んだ出鱈目アイちゃんだ。


「あ、そうそう、『願い』なんだけど、本体の一体になったことで『代償』がほぼ0になったから」

「ほぼ0……?」


私はアイちゃんを訝しんだ。


「ま、ちょっとした代償だから気にしないで」


気にはする。


少しアイちゃんをすると、シルちゃんが戻ってきた。


「お茶をお持ちしました」


シルちゃんがお茶を持ってきたようだ。


「ありがとう」

「私もありがとう」

「どういたしまして。所で、貴女はどういったご要件で……?」


その瞬間、アイちゃんは両手を合わせ、何処からかいつぞやの一房の髪の毛を取り出し、話しておいた『願い』の力を行使した。




「概念発動『流星ミーティア、即ち流れ星『願い』』この『スイリエル』の願いを叶わせなさい」




すると、アイちゃんが持っていた髪の毛が消えると共に光が世界を包みこんだ。



光はすぐさま収まり………。



私の願い―――私が代償として払った私に関するあらゆる記憶を元に戻す―――が叶ったのか、シルちゃんが私を見ると、目を見開いた。



「あ……。あの、す、…スイちゃん、なの?」

「そうだよ」

「スイちゃん。スイちゃん!」


シルちゃんは、私に抱きついてきた。


「久しぶり…?なのかな、スイちゃん。なぜかスイちゃんに関する記憶だけがなくって…。」

「うん。久しぶり。それはもう解消したし。大丈夫だよ」


私の目からほろりと雫が溢れているような感じがするけど、これが嬉し涙というのかな。


「何にせよ、記憶が戻ってめでたしめでたし」


アイちゃんの冷やかし的なものもこの時は嬉しかった。

何を話せば良いのかわからないし。


本当にめでたしめでたしだよ。





久々の”親友”との会話が弾んで、長い間、話こんでしまった。


なので、そろそろ帰ろうかとアイちゃんに言うと、シルちゃんは送ると言った。


「シルちゃん。また来るね」

「うん。また」


私はシルちゃんと抱擁を交わした。


「次回はリフィちゃんもね〜!」


アイちゃんがそう言うが、リフィエルちゃんは結構鍛えなければ無理だろう。


ま、未来のことだしまあいいか。


私とアイちゃんは手を振りながらシルちゃんに見送られた。



またね。シルちゃん。



❖ ❖ ❖ ❖ ❖

※シルちゃん視点。


帰っていったスイちゃん達を眺めながら、家に戻ると、リフィが目を覚ましていた。


「お祖母様!あの方々は一体…!?」

「わたしの大切な昔からの”親友”だよ」


これからもね。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

どーもー。

のこじです。


一旦ここで更新は止まります。

気が向いたら偶に更新はしますが、あまり期待はしないでください。


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